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    • 2023.06.14
    • アルコールチェック義務化
    • アルコールチェック義務化とは何か?
      改正法施行を前に、概要とポイントをまとめて解説
    • [ez-toc] 1 アルコールチェック義務化の背景 2022年中の飲酒運転による交通事故件数は2,167件で、そのうち、死亡事故件数は120件でした。飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なし事故の約7.1倍(警察庁調べ)と極めて高く、飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことが分かります。 2021年6月、千葉県八街市においてトラック運転手の飲酒運転により、児童2名が亡くなり、3名が重傷を負うという痛ましい交通事故が発生しました。 事故を起こした車両はアルコール検査が義務付けられた貨物自動車運送事業法に基づく事業用自動車(緑ナンバー)を取得していない自家用車両(白ナンバー)であったことから、この事故を受け2022年の4月に道路交通法施行規則が改正され、白ナンバーの社用車を5台以上、または11人以上の定員の自動車を1台以上持つ事業所は、運転指導などを行う安全運転管理者の選任とアルコール検査が義務付けられることになりました。 2 アルコールチェック義務化とは何か アルコールチェック義務化とは、2022年4月施行の道路交通法の改正により「安全運転管理者のアルコールチェック業務が、白ナンバー事業者においても義務になったこと」です。白ナンバー事業者とは、事業用自動車以外の一般的な車両(白ナンバー車両)を事業利用する事業者のことで、法人企業であれば自社の荷物や人員を無償で運搬する車両の利用などが挙げられます。 2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則では、安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。 さらに、2023年12月1日からは、目視での酒気帯び確認に加え、アルコール検知器による確認も義務づけられます(予定)。 2-1 アルコールチェック義務化の対象事業者 これまで、運送業などの事業用自動車を対象として義務化されていたアルコールチェックが、下記の条件に当てはまる場合にも適用されるようになります。 乗車定員が11人以上の自動車1台以上 または、 その他の自動車5台以上を業務で利用する事業所 注意していただきたいのは、「法人ごと」ではなく「事業所ごと」に業務で使用する車両数をカウントすることです。また、原動機付自転車を除く自動二輪車は1台を0.5台として計算します。 当てはまる事業所は、安全運転管理者を選任しなければなりません。 2-2 2022年4月の義務化に伴う変更点 2022年4月1日から、以下の2点が義務付けられることになりました。 □ 運転前後に運転者の酒気帯びの有無を目視等で確認すること。 □ 確認の内容を記録し、その記録を1年間保管すること。 警視庁交通安全情報 2-3 今後の義務化に伴う変更点 上記に加え、2023年12月1日から、以下の2点が義務付けられる予定です。 □ 運転前後の運転者の酒気帯びの有無をアルコール検知器で確認すること。 □ アルコール検知器を常時有効に保持すること。 3 アルコールチェック義務化は何が求められるのか? 運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。 ① 対面での確認(原則) + アルコール検知器 ② カメラ、モニター等 + 携帯型アルコール検知器 ③ 携帯電話 + 携帯型アルコール検知器 アルコール検知器を利用していても、目視等での確認は必須だということに留意してください。 4 安全運転管理者とは何か? 改正道路交通法では、一定台数以上の自動車を使用する事業所(乗車定員が11人以上の自動車1台以上または、その他の自動車5台以上を業務で利用する事業所)においては、「安全運転管理者」「副安全運転管理者」を選任して、安全運転管理業務を実施し、交通事故防止を図るとしています。 4-1 安全運転管理者は何人必要か? 安全運転管理者は事業所ごとに1人選任し、副安全運転管理者は業務で利用する自動車の台数によって、選任する人数が異なります。 4-2 安全運転管理者には選任要件があります 安全運転管理者並びに副安全運転管理者には、以下の経験が求められます。 選任基準を満たさなかった場合、5万円以下の罰金を課せられます。 4-3 安全運転管理者を選任したら届け出なければなりません 安全運転管理者等を選任したときは、その日から15日以内に事業所を管轄する警察署に必要書類を提出しなければなりません。 4-4 安全運転管理者の業務を5つのポイントで解説します ポイント① 【安全運転前後の確認】 運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。 運転者1名につき、2回の確認が必要です。 運転前:運転を含む業務の開始前または出勤時 運転後:運転を含む業務の終了後や退勤時 ポイント② 【目視等での確認とは?】 運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。 「運転者の顔色」「呼気のにおい」「応答の声の調子」を確認しますが、状況に応じてやり方はいくつかあります。 ① 対面での確認(原則) + アルコール検知器 ② カメラ、モニター等 + 携帯型アルコール検知器 ③ 携帯電話 + 携帯型アルコール検知器 アルコール検知器を利用していても、目視等での確認は必須だということに留意してください。 ポイント③ 【記録方法】 安全運転管理者は、以下のように確認の内容を記録し、およびその記録を1年間保存することが求められます。記録の様式は問われていませんが、事業所ごとに記録・保存する必要があります。 1.確認者名 2.運転者名 3.運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等 4.確認の日時 5.確認の方法 (1)アルコール検知器の使用の有無 (2)対面でない場合は具体的方法 6.酒気帯びの有無 7.指示事項 8.その他必要な事項 ポイント④ 【アルコール検知器による検査】 酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば、アルコール検知器の性能上の要件は問いません。また、アルコール検知器は、アルコールを検知すると原動機が始動できないようにする機能を有するものを含みます。 ポイント⑤ 【アルコール検知器は、常時有効に保持しなければなりません】 「常時有効に」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持することを指します。 確認ポイントは以下の通りです。 □ 危機に損傷がないか □ 電池切れでないか □ 正常な呼気で反応が出ないか □ アルコール成分を含んだ呼気に反応があるか □ 使用回数制限を超えていないか 4-5 アルコールチェック義務を怠った場合の罰則 アルコールチェックを実施しなかったときの、直接的な罰則はありません。ただしアルコールチェックを怠り、酒気帯びの運転になっているときは道路交通法違反になり、運転者のみだけでなく使用者(安全運転管理者、その他自動車を直接管理する者など含む)に3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 安全運転管理者は、運転者が正常の判断で安全に運転できるように確認しなければなりません。アルコールチェックだけではなく、駐車違反、無免許運転、最高速度違反、過労運転などを容認または下命していると判断されたときは、運転者と同様の処分を受けます。 交通事故を起こした企業には、「刑事上の責任」「行政上の責任」「民事上の責任」「社会的責任」が問われ、大きな代償を支払います。しかも、コンプライアンスを「守ったうえで起きた事故」と「守らなかったときに起きた事故」では、その後の会社の信用度や評判において受ける打撃に大きな違いがあることは言うまでもないでしょう。 5 アルコール検知器の使用義務化で準備すること アルコール検知器の使用義務化に向けて、大きく分けて二つことを準備する必要があります。「アルコール検知器」と「運用ルール」の準備です。 5-1 アルコール検知器を準備する アルコール検知器は検知方式や記録方式などの違いで、様々な種類があります。自社の運転者の人数や運転の形態に合わせて選択しましょう。 ○形態による違い 大きく分けて「据え置きタイプ」と「ハンディタイプ」があります。 ○検知方式による違い 5-2 運用ルールを定める アルコール検知器による検査は運転者1名につき、2回の確認が必要とされています(当日運転する人に限る)。 運転前:運転を含む業務の開始前または出勤時 運転後:運転を含む業務の終了後や退勤時 ただし、事業所発着が基本の事業所もあれば、営業マンが直行直帰することが常態化している事業もありますので、運用ルールは事業所ごとに違ってきます。 ポイントになるのは、 ①全員がルールを理解し、実行する準備ができていること(例外を設けることは極力避けましょう) ②責任者(安全運転管理者)が誰であるのか、事業所内の全員が認知していること ③不正や確認忘れを防止するための対策をとること ④確認方法と記録管理の両面において、安全運転管理者にとっても運転者にとっても、極力負担がかからないやり方を採用すること 特に安全運転管理が有名無実化しないためにも、③と④は重要なポイントになります。業務を省力化しつつなりすましやデータの改ざんを防ぐためには、AI技術の活用やクラウド管理は欠かせないものになっています。 6 まとめ 本記事ではアルコールチェック義務化の概要や安全運転管理者の業務についてまとめました。 弊社では顔認証AIでなりすましを防ぎ、かつ管理者の負担を限りなくゼロに近づけるアルコール検知AIクラウドシステム【AIZE Breath】を提供しております。事業所発着用の据え置き対応と直行直帰に対応したハンディタイプを取り揃え、すでに多くの事業者様にご利用いただいております。 下記からアルコールチェック義務化に関するお役立ち資料もダウンロードしていただけますので、ぜひご覧ください。 資料ダウンロード AIZE Breathの詳しい情報は https://aizebreath.jp/
    • 2023.01.26
    • 顔認証
    • 顔認証システムの問題点とは? 潜むリスクと対応策、活用事例をご紹介
    • [toc] 顔認証システムとは? 顔認証システムとは個人の体が持つ特徴によって認証を行う「生体認証システム」の1つです。生体認証システムには、顔認証以外に指紋認証や静脈認証などがあります。 顔認証システムは、カメラで撮影した画像や映像から顔を見つけて、同一人物かどうかの本人確認をする技術です。https://aize.jp/face-recognition-system/ 顔認証システムの仕組み 顔認証システムでは、AIがカメラで撮影された画像や動画から人の顔を検出し、顔の特徴、目や鼻や口などの位置や大きさ、輪郭の形状といった情報をもとに、あらかじめ登録されている顔データと照合するまでの一連の処理をします。検出のスピードと照合の精度によって、それぞれの顔認証システムに機能の違いがでます。 顔認証システムが注目されるようになった社会背景 なぜ今、顔認証システムが注目されているのでしょうか。 要因として考えられるのは、法人、個人に限らず世の中においてセキュリティ対策やリスクマネジメントが重要となってきたからです。 機密情報や個人情報を狙ってのサイバー攻撃などの脅威が増えたり、なりすましによるクレジットカードの不正利用なども多く発生したりしています。経済産業省は、ECサイト運営者に対して、クレジットカード決済時の生体認証による本人確認を2025年までに義務付けることも決めました。 そのような社会背景があり、複製が難しくセキュリティレベルの高い顔認証システムが注目されるようになってきたのです。 コロナ禍においては、非接触での認証で感染症対策も実現可能ということで更に需要が高まりました。 顔認証システムのメリット セキュリティ対策として広がってきた顔認証システム。そんな顔認証システムにはどんなメリットがあるのでしょうか。特徴を詳しくみていきましょう。 なりすまし防止 なんといっても、顔認証システムはなりすましなどの不正利用がされにくい点が一番のメリットではないでしょうか。 IDやICカードを使用した本人確認は、そのカードさえ手元にあればだれでも認証することができるので複製や盗難といったリスクがありますが、顔認証システムは、第三者が行うことが不可能なので、なりすましなどの不正や犯罪を防止することが期待されます。 パスワード入力が省略可能 パスワードを使った認証システムは、パスワードを覚えておく必要があり、定期的な変更も求められます。また、入力時に覗き見されて悪用されてしまうリスクもあります。 しかし、顔認証システムはパスワードレスです。パスワードを管理する必要も入力する必要もない点は、顔認証システムの大きなメリットではないでしょうか。 大量のデータを高速に処理し分析することが可能 AIがディープラーニングの技術を獲得することで大量のデータを一度に高速処理し、分析まですることが可能になりました。顔認証システムは、人の手に負えない膨大な量のデータを集めて蓄積、処理、複雑な分析まで可能にします。 顔認証の詳しいメリットについては下記記事でご紹介しています。 顔認証システムとは? 仕組みやメリット、最新の活用事例をご紹介 | 顔認証のAIZE・AIを使った課題解決型顔認証ソリューション 顔認証システムの問題点 では、顔認証システムに問題点はないのでしょうか。 プライバシー問題 顔データは、本人を特定することが可能なので個人情報に該当します。そのため、個人情報保護の観点から、顔を登録する際は本人の同意を得てから取得することや、顔データを暗号化して管理するなど、プライバシーに配慮した対策が必要です。 導入する際は、運用方法やデータの取り扱いについてのガイドラインを作成しておきましょう。 精度によっては誤認証など発生 認証技術が発展している顔認証システムですが、製品によって精度が異なります。 精度の低いものは誤認証が発生し、トラブル対応など余計な業務が増えてしまったり、代替のためのツールで追加コストがかかってしまったりすることもあります。製品によってはメガネやマスク、髪型の変化に対応できない製品などもあります。カメラに映りこむ情報量の多さの影響や、外光や照明などの影響で認証精度が落ちてしまうこともあります。 個人情報の流出時の影響が大きい 顔認証システムは偽造ができない分、セキュリティのレベルは高いのですが、万が一漏洩してしまうと社会的な信頼を損ねる、自社の損失につながるなど様々なリスクに発展します。 個人番号や運転免許証の番号、電子取引などに使用するパスワードは、流出後に変更することが可能ですが「顔」データの場合はそうもいきません。 顔認証システムの問題点に対する対応策 そんな顔認証システムの問題点への対応策について考えていきましょう。 精度の高い顔認証システムを使用する 言うまでもありませんが、導入の際は精度の高い顔認証システムを選びましょう。また、設置場所が、外光や照明などの影響を受けないかどうか事前に検討することも必要です。 トリプルアイズが独自に開発した画像認識プラットフォームAIZEは、囲碁AIの研究から生まれたもので、世界最大級、500次元以上の顔の特徴量によって認証率を高めています。正面画像であれば99%の認証率となっています。カメラからクラウドに画像データを送信し、ディープラーニングの手法でAIが解析します。 難しいといわれていたマスク認証については、手本になるAIモデルがないため、自社で検索アプローチやデータアプローチを繰り返し、現在では(2021年4月時点)、マスク着用時の認証率98%を実現しました。 参考:https://aize.jp/face-recognition-face-mask/ 精度の高い顔認証システムの見分け方 では精度の高い顔認証システムはどうやって見分けるとよいのでしょうか。 これに関しては、顔認証の利用シーンや環境によって、各認証エンジンで得意・不得意があるため、顔認証を利用したいシーンに合わせて選定するのが良いと思います。利用シーンとしては、正面静止・ウォークスルー認証なのか、環境でいうと屋内・屋外なのか特定環境下(工場内、トンネル内)などが挙げられます。 他には、NIST(米国国立標準技術研究所)のような第三者評価機関の顔認証テストの評価結果が指標になります。 導入の際は、これらの観点を踏まえ利用シーンのデータを取得し、各顔認証システムのAPI・SDKを用いて、認証精度・速度を比較・評価したのち選定するのが良いと思います。 その他の認証システムとの併用でセキュリティレベルをアップ 顔認証システムと他の認証システムを併用することで、セキュリティレベルをアップさせるのも良いでしょう。 2つ以上の異なる要素を組み合わせることにより、強度を高める多要素認証という認証方法があります。顔認証システムにプラスして、SMS(ショートメッセージサービス)で通知されるワンタイムパスワードなど、ユーザーが所持している情報を追加で入力する方法などが例として挙げられます。 セキュリティ強化はユーザーの安心感を高めることにつながります。 個人情報取り扱いに対するリテラシー向上とアクセス制限 個人情報の流出のリスクヘッジとしては、日頃の研修等で社員全員の個人情報の取り扱いに対するリテラシーを上げておくことはもちろんのこと、顔認証システムの導入前に管理方法や運用ルールについて周知徹底しておくことが重要です。 アクセス制限をし、管理者のみがデータを確認できるようにしておくこともお薦めします。 顔認証の活用事例 ここからは、顔認証システムがどこでどのように使われているのかが分かる、具体的な活用シーンをご紹介します。 スマートフォン iPhoneによる顔認証 皆さんの一番身近な顔認証システムといえば、iPhoneのFace IDではないでしょうか。 スマートフォンのインカメラで顔をうつし、目や鼻や口などの位置や輪郭の形状といった情報をもとに、事前に登録されている本人の顔データと照合、認証してスマートフォンのロックを解除するというものです。 顔認証システムを活用した勤怠管理 最近少しずつ増えつつあるのが、顔認証システムを活用した勤怠管理です。 トリプルアイズが提供する、AIZE Bizは、事前に従業員の顔データを登録しておくと、オフィス入口に設置したタブレットや自宅のPCカメラ、外出先のスマホカメラを介して、AIエンジンが本人認証し、出退勤の打刻をすることが可能です。 出退勤時の顔画像を一定期間クラウド上に残し、不正な打刻を防止します。タイムカードもPC入力も不要で、テレワークにも対応しています。 また、オフィスでは、同時に検温もできる機器を使用することで、勤怠管理と感染対策も同時におこなうことが可能です。 参考:https://aizebiz.jp/ 顔認証システムを活用したマーケティング マーケティング分野でも顔認証システムの活用シーンがあります。店舗やイベント会場での例をご紹介しましょう。 店舗や会場の入口に顔認証システムを搭載したカメラを設置します。そのカメラで取得した顔画像データをAIが解析することで、曜日・時間帯別の人数や男女比率、顧客の年齢層といった属性、リピート比率などといったリアルなデータを取得できます。その分析結果をもとに、店舗のオペレーション、ターゲット顧客に合わせたメニューの開発や商品陳列に活かすというものです。 顔認証技術で来場者の属性を「見える化」するクラウドシステム、トリプルアイズのAIZE Researchは各分野で導入が進んでいます。 参考:https://aize.jp/casestudys/(導入事例)  顔認証システムを活用した決済 2020年2月28日、大手家電量販店のヤマダ電機は量販店では日本で初めてとなる顔認証決済サービス「ヤマダPay」をスタートしました。 顧客が、あらかじめスマホから自分の顔画像を登録しておくことにより、来店時にカメラに顔をかざすだけで買い物ができる仕組みです。財布もカードも不要な新しい消費スタイルが登場しました。この本人認証を受け持つ顔認証AIにはトリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEが採用されています。 顔認証システムの問題点への対策をして、パスワードレス社会を実現 顔認証システムには、個人情報の取り扱いやプライバシー問題、システムの精度によっては 誤認証が発生することもあるといった問題点が少なからずあります。 しかし、IDやICカードいらずの顔認証システムは、昨今増えているなりすましによるクレジットカードの不正利用防止が期待できることやパスワードレスといったメリットもあります。大量のデータを高速に処理し分析することも可能です。 想像以上に皆さんの身近なところに増えている顔認証システム、上記でご紹介したような問題点に対する対策を取りつつ、上手に活用し、効率化やリスクヘッジといったビジネス効果を得ていきたいものです。 顔認証システムによるパスワードレス社会の実現は着々と進んでいます。 もっと詳しく顔認証システムのサービスについて知りたい方はこちらまで。https://aize.jp/ 資料ダウンロード
    • 2022.12.15
    • 顔認証
    • 顔認証システムとは? 仕組みやメリット、最新の活用事例をご紹介
    • [toc] 顔認証システムとは? 顔認証システムとは個人の体が持つ特徴によって認証を行う「生体認証システム」の1つです。数ある生体認証のなかでも使いやすく導入しやすいというメリットをもっています。 顔認証システムを、ごく簡単に説明してしまえば、カメラで撮影した画像から人の顔を見つけて同一人物かを判断するコンピュータ・システムです。顔“認識”システムという場合もあります。認識と認証の違いは、画像のなかから顔を検出する場合を認識、認識した顔のデータを事前に登録されたデータとの照合する場合を認証、と考えておけばわかりやすいでしょう。 顔認証システムでは、AIが撮影された画像から人の顔を検出し、登録されているデータと照合するまでの一連の処理を行われます。検出のスピードと照合の精度によって、それぞれの顔認証システムに機能の違いがでます。 顔認証システムの種類 顔認証システムは、 どのように顔画像を撮影するかどこでデータ処理をおこなうかどうやってデータを取得するか の組み合わせで種類がわかれます。それぞれにコストとメリットがあり、顔認証システム導入の目的や環境にそって検討されるべきものです。 ①A:ウォークスルー 主に、建物の天井に設置された防犯カメラやドーム型の広角カメラを使用します。不特定多数の人がたくさん通過する場所で、対象者に意識されることなく撮影されますので、対象者に負担を感じさせることなく認証がおこなわれます。 ①B:対面 スマートフォンやノートパソコンなどのデバイスに内蔵されたカメラに、対象者が顔を向けることで認証がおこなわれます。近年のコロナ禍によって、非接触検温機のタブレットのカメラを利用する顔認証システムも普及しています。 ②A:クラウド型 クラウド型の顔認証システムは、インターネットを介してデータをクラウドに送りAIで認証を行うため、専門の装置を準備しなくても以前からある防犯カメラで撮影した画像をそのまま使用することもできます。 クラウド型ではグローバルIT企業を中心に顔認証APIが提供されており、それらを活用してシステムを構築する場合が多いのですが、独自開発した顔認証システムをクラウドで提供しているAIベンチャー企業もあります。 ②B:エッジ型 エッジ型はクラウド上でおこなうことを手元エッジのコンピュータ内で全ておこないます。インターネットを介さないことからデータ処理のスピードが安定する点、通信費がかからない点、個人情報である顔データが外へ通信されることがなく安全である点がメリットです。 ③A:2D顔認証 撮影された顔の画像に座標をあてて鼻や目、口といったパーツの位置を計測しデータ化します。そのデータを事前に登録されている顔パーツの座標データと照合して個人の認証を行う方式です。 髪型やカメラの設置環境の影響を受けやすく認証精度が落ちる場合がありますが、以前から設置していたカメラが活用できるため導入コストを抑えられるというメリットがあります。 ③B:3D顔認証 赤外線カメラによって顔の凹凸までを検出してデータ化し認証を行います。2D顔認証に比べて髪型やカメラの設置環境の影響を受けにくく認証精度は高くなりますが、専用のカメラが必要で導入コストが割高になります。 顔認証システムが注目される背景 顔認証システムが注目されているのは使いやすく導入しやすいからです。日本社会全体のトレンドとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)促進のスタートに最適なうえに、コロナ禍のなかで専門の機器に接触する必要がない顔認証システムは衛生的にも適したもので、出勤自粛のなかで定着したテレワークでの勤怠管理にも適していたからです。 顔認証システムを導入するためハードルは低いので、即日に導入することが可能です。だからこそ、コロナ禍のような緊急事態の世の中に求められたのです。 意識しないで認証できる 顔認証システムは、対象となる人物がみずから意識して認証しなくても認証できることがあります。 指紋認証や音声認証といった他の生体認証システムでは、対象者が指紋を専用装置に合わせたり、マイクに向かって話したりしないといけません。それに対し、顔認証では対象者が顔を向けなくても、カメラの画像に顔が映りさえすれば検出できます。 すでにあるカメラで認証できる 専用のカメラを設置しなくても天井の防犯カメラが撮影した画像から顔認証ができます。エッジ型のようにエッジコンピュータを置く場合も、指紋認証や音声認証などの設備に比べれば入手しやすく安いものがほとんどです。 カメラは現在、ノートパソコンやスマホなどさまざまなデバイスに内蔵されています。デバイスで撮影された画像をそのまま認証システムに取り入れられる点は、顔認証システムの大きな特徴となっています。スマホを立ち上げたとき、ノートパソコンをひろげたとき、自動的に認証できるのです。 パソコンだけで認証できる コロナウィルス感染拡大によって定着しているテレワークも、顔認証システムが注目される理由にあります。自宅で業務用パソコンを広げたときに認証され、その時間が勤怠システムに打刻されるシステムですので、社員がそれぞれ新たな機器を購入する必要もありませんし、管理する側も顔を確認して勤怠を管理することができます。コロナ禍でのビジネスパーソンにこそもっとも相性のよい認証システムが顔認証だったのです。 顔認証システムの仕組み 顔認証システムは大きくは画像認識システムに分類されます。画像認識システムは2000年代以降に大きく発展し第3次AIブームを巻き起こしました。「ディープラーニング」と呼ばれる人間の脳神経回路(ニューロン)をモデルにしたネットワークのよる解析技術によって、最初に進化したAIの分野は画像認識でした。ディープラーニングによって、「コンピュータが眼をもった」といわれるほど画像認識の能力は飛躍的に進化しました。 使えば使うほど便利になるシステム 顔認証システムは多くの人が使えば使うほど、ほとんど自動で便利で間違いの少ないシステムになっていきます。 顔認証でいえば、たとえば人の顔画像を何枚も取り込む──言い換えれば、人が何度も撮影される──ことで、顔認証システムのAIはそれぞれの人の顔の特徴を覚えていきます。選択した画像に対して「これはAさんですよ」と学習させると、顔認証システムのAIはAさんの顔を検出し登録データと照合し、認証するようになるのです。 顔認証システムを使うごとにデータ量は増えますので、学習量も進んでいくので、したがって顔認証システムはますます便利になるのです。 マスクをしたまま顔認証ができる理由 2020年以降、世界的に猛威を振るう新型コロナウィルスによって多くの人々がマスクなしに生活できなくなっています。これによって、普及しかけていた顔認証システムも大きな影響を受けました。というのも、マスクを装着した人の認証精度が極端に低下したためです。 このマスクでの顔認証という課題に対して、顔認証システムを開発してきた大小のIT企業はさまざまな改修を行いました。目元を中心とした画像による顔認証システムを開発したり、マスクなしの画像にマスク情報を付与しAIに学習させたり、顔を輪郭形状で捉えマスクのあるなしにかかわらず顔全体で認証を行うシステムを開発したり、様々なアプローチで試行錯誤し、マスク顔認証精度も改善されてきました。 誤認証とは? 顔認証システムが認証を誤る場合には次の2つがあります。たがいに関係があり、この2つの誤認証を調整することで、環境や用途に最適な認証精度を求められるのです。 他人受け入れ 本来は照合できない人を照合してしまい、他人を対象者として認証してしまうことです。他人を受け入れてしまう確率を「他人受入率(FAR)」と言います。 本人拒否 本来は照合すべき人を照合できずに、対象者を認証できないことです。本人を拒否してしまう確率を「本人拒否率(FRR)」と言います。 顔認証システム、4つのメリット 世の中にはさまざまな認証システムがあります。カードやスマートフォンなどで行う物体認証や暗証番号・パスワードによる記号認証、そして顔や指紋、声などの身体的な特徴による整体認証です。 顔認証システムには生体認証だけでなく、他の認証システムにはない4つのメリットがあります。 ① 使いやすい 現在、多くのデバイスがカメラを搭載しています。そのため、顔認証システムを使用する場合は新たな装置を必要としません。これは、他の生体認証システムに比べても優位な点になっています。 ② 自動化しやすい 指紋認証や虹彩認証、あるいはカード認証、パスワード認証など、ほとんどの認証システムは対象者がみずから意識して認証を行わなければなりません。しかし、顔認証システムはカメラが顔を捉えられれば自動的に認証を行います。これも、顔認証システムの大きなメリットと言えるでしょう。 ③ 衛生的に利用できる カメラで人の顔を捉えられれば認証を行えるため、対象者は認証用の機器に接触する必要がありません。コロナ禍以降、非接触による認証は大いに注目されるようになりました。顔認証システムが非接触で利用できる点は、そのメリットの1つです。 ④ 手ぶらで利用できる 他の認証システムは対象者にとってもさまざまなデバイスの携帯、IDやパスワードの管理が必要となります。それに対し、顔認証システムは顔さえあれば認証が可能です。対象者は手ぶらでいつでも認証できます。これも顔認証システムのメリットになります。 顔認証システムの注意点 顔認証システムは、すでにあるカメラを利用できる反面、カメラの機能や設置場所によって認証精度に影響が出ることがあります。鮮明な画像が得られないと認証ができないこともあるのです。 また、顔画像データは個人情報保護の観点から厳重な管理が求められるため、導入後の運用にも十分な注意が必要になります。 photo By Unsplash onFLY:D 顔認証システムを活用した最新事例 顔認証システムは、総合的にみると非常に導入しやすいため、すでに多くの場所で導入が進んでおります。現在、企業課題となっているDXにおいてもAI導入はその核心であり、AIのなかでも顔認証システムはもっともスモールに導入でき、メリットも高いものです。そのため、顔認証システムの使い方も各業界、各企業によってさまざまあります。企業ごとの課題に対応しうるポテンシャルをもったシステムなのです。 出退管理 事前に登録された顔画像と建物などの施設への出入りの際に撮影された顔画像とで認証をおこない打刻するシステムは広く導入されています。 代表的なものは、オフィスにおいてパソコンなどのデバイスで顔認証して勤怠システムと連携して管理される例です。これまでのタイムカードやウェブでの打刻など、なりすましが容易な認証に比べ、顔認証ではそうしたことができないためニーズが高まっています。 多店舗経営の場合 多数のチェーン店を経営し本部で管理するような企業では、それぞれの店舗への従業員の出退勤の管理を確実に行えないことが課題になっていました。顔認証システムを導入したことで、リアルタイムで各地の店舗の出退勤が管理でき、なりすましもできないため、より確実な管理が可能です。近年ではコロナウィルス感染拡大防止策として、出退勤時の検温データも同時に記録するシステムも普及しています。 工場、倉庫の場合 工場や倉庫など多くの人がシフトごとに出勤、退勤がかさなる場所での利用にもメリットを発揮しています。精密機械製造工場や食品工場などで、正しい作業服の装着を確認する機能を追加するシステムもみられます。 スポーツクラブの場合 会員制のビジネスはとくに顔認証システムと相性がよいものです。顔認証によってクラブやジムへの入退場を無人で管理できるため、人件費削減の用途で導入されています。 公共機関の場合 空港や病院といった公共施設で顔認証システムの導入が進む背景には、非接触で認証が行える点があります。従来、防犯カメラの設置が進んでいたことも導入を促進しています。 鉄道やバスなどの公共交通機関への乗降時の管理に顔認証システムを導入する例も今後、増えていくとみられています。 マーケティング これまでのリテールマーケティングではPOSレジなどによるデータ取得が主でしたが、顔認証システムならレジを使用しない──支払いをしていない──来店者のデータ取得も可能になります。 登録された顧客に対しポイント付与や割引などの施策を行う際にも顔認証システムは有用です。 小売店の場合 もともと店舗内に設置されていた防犯カメラを活用して、来店客のデータを取得する目的で顔認証システムの導入が進んでいます。顧客の来店時間、滞在時間、性別/年齢などの属性、リピーター判定などのデータ取得を行なっています。 キャンペーン施策でも、顔認証システムを使用してポイント付与を行うなどの例も見られます。顧客はスマホもポイントカードも不要です。さらに一歩すすんで、顔認証システムによる決済まで行われる例もでてきています。 ホテルの場合 ホテルでスマートキーと連動してチェックイン/チェックアウトに使用される例も増えています。決済までもフロントを通さず行うことが可能になっています。 観光施設の場合 アミューズメント施設での人流の分析に顔認証システムが使用される例があります。アトラクションごとの利用頻度や、アトラクションからアトラクションへの人の流れなどを分析しています。 より大掛かりなものでは、数キロ範囲の観光地内の施設間での人の流れについての分析を顔認証システムで行う例もあります。 無人店舗の場合 入退店の管理に顔認証システムを導入するだけなく、画像認識によって手にとった商品を認識して価格を判断、来店者の口座から決済を行うといったことまでを行う店舗も実証実験のレベルでは現れています。 なお、Amazonが経営する無人店舗「Amazon Go」など、海外では数年前から実用が進んでおり、国内でも一気に無人店舗が増えそうです。 顔認証システムのまとめ DX化が進むなかで、AI導入の第一歩として顔認証システムの普及が進んでいます。他の認証システムに比べて、新たな設備が要らず安価に設置できる顔認証システムは、なるべくリスクをすくなくAI導入、DX化を促進するうえで最適だからです。 導入しやすく安価な顔認証システムでも、その効果は大きなものが期待できます。うまく活用することでビジネスに革新をもたらしうるシステムなのです。それは業界も企業も問いません。 顔認証システムをうまく導入した企業ほど、DX化を加速させ業務改善、事業変革に成功する傾向さえあると考えられます。 資料ダウンロード
    • 2021.09.24
    • AI
    • 画像認識とは?仕組みやAI(人工知能)による画像処理、最新の活用事例を解説
    • 画像認識とは? 画像認識とは、画像から特徴をつかみ、対象物を識別するパターン認識技術の一つです。 具体的には例えば、画像に映っている物体は何であるか、という判断をコンピュータに行わせ画像を認識させます。人間は写真などの画像を見れば、どのような場所に何が映っているか、自身の経験から推測することができます。 しかしながら、コンピュータには人間のような記憶の蓄積や経験はありませんから、もしコンピュータに「猫」の画像をただ与えても、コンピュータはそれを「猫」だと認識はしてくれません。 そこで、画像認識ではコンピュータにデータベースから大量の画像を与え、対象物の特徴をコンピュータに自動的に「学習」してもらいます。すると、コンピュータは画像データから猫の特徴を「理解」し、同じ特徴を持った画像が与えられれば、それを「猫」だと推測することができます。 近年この画像認識の分野はAIにおけるディープラーニング技術の向上により、急速に発展しました。この記事では今ホットな技術領域である画像認識について、その仕組みや歴史、その活用例について、丁寧に解説していきます。 ▷関連記事:AI(人工知能)を説明できますか? ■目次■ 1.画像認識とは? 2.画像認識の仕組み ー画像認識の手法ー機械学習 ー画像認識の精度を高める「ディープラーニング(深層学習)」 ー画像認識のプログラミングに適しているPython 3.画像認識の歴史 ーもっとも古い画像認識「バーコード」 ー画像を単純に比較する「テンプレートマッチング」 ー画像認識を飛躍的に向上させた「ディープラーニング」 4.画像認識の種類と機能 ー物体認識 ー顔認識 ー文字認識 5.AIを生かした画像認識と一般的な画像認識の違い 6.画像認識の発展の理由 ーAI技術の発展 ー画像認識とディープラーニング ービッグデータの出現 ー高精度カメラデバイスの普及 7.画像認識で解決できる課題 8.画像認識を活用した最新事例 ーOsaka Metroが顔認証を用いた次世代改札機の実証実験を開始 ーヤマダ電機の顔決済 ーコミュニケーションロボットに画像認識機能を搭載 ー顔認証+検温で感染症対策 ー顔認証が進める美容チェーンにおけるDX 9.画像認識の未来 10.まとめ 画像認識の仕組み 画像認識ではコンピュータに画像から特徴量を抽出させ、その特徴量をもとにその画像が映っているものを判断してもらいます。 ただし、コンピュータの判断の仕方は人間のものとは異なります。画像を表すピクセルデータに対し何かしらの演算を行い、特徴量を算出するという数学的な方法をとります。 ここでは、どのような仕組みで画像認識ができるのか解説します。 画像認識の手法ー機械学習 コンピュータにとっての画像認識能力の向上とは、その演算方法や、演算に使用するパラメータの変更を意味します。つまり、できるだけ精度よくコンピュータに画像認識してもらいたいなら、その計算モデルやパラメータをできるだけ質の高いものにする必要があります。 そのためには何をしたらよいでしょうか? すぐ思いつく一つの方法は、良い正答率が出るまで人間が演算方法やパラメータを調整することです。しかしこれでは途方もなく労力を要し、効率的ではありません。そのため、画像認識では「機械学習」を行わせます。 機械学習とは、コンピュータが自ら学習していくシステムのことです。この方法では、コンピュータがどのように演算を行っていくかと、どのようなルールに従ってパラメータを修正するかだけを人間が設定し、あとは機械が大量のデータをもとに自動的にパラメータを修正していき、最適化してくれます。 学習が進むにつれコンピュータの認識率は向上していき、最終的には画像データから特徴を抽出し、正確な判断ができるようになります。ただし、コンピュータも与えたモデルが適さなかったり、データの量、質が悪いとなかなか画像の認識精度を上げることができません。そのため目的に合わせて適切なモデルとデータセットを選択する必要があります。 画像認識の精度を高める「ディープラーニング(深層学習)」 画像認識では畳み込みニューラルネットワークと呼ばれるネットワークモデルがよく使用されます。このモデルは、人間の脳内の神経回路網を表現したニューラルネットワークと呼ばれるネットワークモデルの発展版です。このモデルの特徴は、画像のピクセルデータを人間が抽象ベクトルに変換せず、画像データのままコンピュータに特徴抽出を行なわせることです。 畳み込みニューラルネットではまず、画像データの一部分にフィルタをかけ演算し、その領域をスライドさせて繰り返していく「畳み込み」を行い、特徴マップを生成します。この処理によって、画像が持つ局所的な特徴を抽出することができます。このようにしてコンピュータは画像の特徴を繰り返し抽出し対象物を推測し、また正解データで答え合わせをして学習しながら、画像認識の精度を高めていくのです。この多層化されたニューラルネットワークの学習の仕組みをディープラーニングと呼んでいます。 画像認識のプログラミングに適しているPython ちなみに、画像認識を含むAIのプログラミング言語として、最近ではPythonが主流になっています。皆さんも名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう。 このPythonは、少ないコードで簡潔にプログラムを書けること、専門的なライブラリが豊富にあることが特徴として挙げられます。Pythonは、コードを書きやすく読みやすくするために生まれたプログラミング言語なので、だれが書いても同じようなコードになるようになっています。つまり汎用性があるということです。 また、Pythonはweb上に数万にも上るライブラリが存在します。既存のライブラリを有効活用することで、自分の作りたいプログラムを作成することが容易にできるのです。Pythonによって開発された代表的なWebアプリケーションとして、Instagram、YouTube、Evernote、DropBoxなどが挙げられます。 Pythonは、機械学習を用いたソフトウェアの開発の分野で広く活用されています。コードが簡潔であるだけでなく、初めて機械学習を学ぶ人にとっても習得しやすい言語であるため、機械学習を学ぶ際には基本のプログラミング言語といえます。代表的なものとして、TensorFlow(テンソルフロー)という機械学習ライブラリがディープラーニングの分野で活用されています。 ちなみにトリプルアイズ では、Python学習も含むAIエンジニア育成プログラム「AT20」を提供しております。 通信教育方式で毎週の課題をこなしながら実務で通用するAIエンジニアリングの技能を身につけるこのプログラムは、入門コースからエンジニア中級コースまで、習熟度に合わせて学習スケジュールを決められる4つのコースを設けておりますので、AI学習にご興味ある方はお問い合わせください。 AT20の公式HP 画像認識の歴史 ディープラーニングの登場によって近年話題となっている画像認識ですが、実は昔から存在し、意外にも歴史の古い技術になります。 現代では、画像認識には機械学習と呼ばれるパターン認識技術が当然のように使用され、さらにはディープラーニングの登場により、人間に近い画像認識率を示すまでに至っています。 しかし、コンピュータが画像を認識することは、照明の明るさやピントのずれなどの画像のノイズ、対象物の向きなどの影響を受けやすいといった問題も多く、そもそもは容易なことではありません。ここではその画像認識発展の歴史の一部を振り返っていきます。 もっとも古い画像認識「バーコード」 もっとも古い画像認識では1940年代の「バーコード」があります。バーコードとはバーとスペースの組み合わせにより、数字や文字を機械が読み取れる形で表現したものです。これをバーコードスキャナと呼ばれる光学認識装置を使って読み取ります。 見かけは画像と呼ぶにはシンプルすぎると感じるかもしれませんが、画像のパターンから情報を読み取っている点ではこれも立派な画像認識といえます。 画像を単純に比較する「テンプレートマッチング」 従来の画像認識ではテンプレートマッチング等が使用されてきました。これは画像に映る物体の位置を検出する画像検出と呼ばれる技術の一つです。 この方法では検出したいものの画像そのものをテンプレートとし、対象の画像の一部分との類似性を、その領域をスライドしながら単純に比較していきます。この方法によって、対象の物体が画像内のどこに映っているか、いくつ映っているかといった情報を画像から抽出することができます。 しかしこの方法は照明変化が大きい場合など、テンプレート画像からの変化が激しい場合に、認識率が大きく下がってしまう弱点があります。また認識したい対象ごとにテンプレートが必要という点に関しても、有用性に問題があります。 画像認識を飛躍的に向上させた「ディープラーニング」 2000年代になると計算機の発展により、データを高速に処理可能になりました。この変化により大量の画像データを用いた機械学習による画像認識を行うことが可能となり、画像認識技術はそれまでの人手によるルールやモデル構築からパターン認識へと移行していきます。 そして2012年、ディープラーニングが登場し世界に衝撃を与えました。画像認識コンテストILSVRCで、カナダ・トロント大学のヒントン教授らのグループが画像認識に対して初めてディープラーニングを適用し、一年前の優勝記録の誤り率から4割も削減し、圧勝しました。 ▷参考:https://www.cs.toronto.edu/~hinton/ またその一方でGoogleは同年、人が教えることなく、ディープラーニングにより、AIが自動的に猫を認識することに成功しました。このようにディープラーニングは画像認識の領域で大きな成果を上げ、その能力の高さを世の中に見せつけます。さらに2016年のアルファ碁の登場で第三次AIブームが到来し、今日では画像認識AIはすでに産業界で実用化される段階にまで到達しました。 ▷関連記事:画像認識技術の違いがわからない 画像認識の種類と機能 ひと口に画像認識技術といっても、画像の種類によって対象の形状や色、複雑さ、データの数などで差が生じます。そのため扱う画像データによって技術領域を分類することができます。ここではその代表的なものを簡単に紹介していきます。 物体認識 物体認識とは、例えばある物体と同一の物体が画像中に存在するか検証する、画像に映っている物体のカテゴリを言い当てるなど、画像に含まれている物体の情報を抽出する技術です。 この物体認識において重要となる技術として、物体検出と呼ばれる技術があり、しばしば両者は区別して使われます。 物体検出は画像中の対象物体の位置を検出する技術であり、物体認識とは実行方法が異なりますが、対象となる物体の特徴を抽出する際その物体の位置はしばしば重要となるので、併用されることがあります。 顔認識 顔認識は顔画像から目立つ特徴を抽出する技術です。顔認識を利用すれば、顔の識別、照合や似た顔の検索、顔のグループ化などが行えます。 人間の表情から感情を読み取る感情認識についても研究が進められています。また物体認識の場合と同様に顔検出と呼ばれる技術もあり、やはり併用されます。 文字認識 文字認識とは、紙に書かれた手書きの文字や、印刷文字などを判別する技術です。これにより、例えば画像内のテキストを抽出することができます。古くから研究されている分野ですが、最近では翻訳技術と合わせたシステムが実現されるなど、利用用途の多い技術でもあります。 AIを生かした画像認識と一般的な画像認識の違い ここまで画像認識やAI、ディープラーニングなどに関して書いていきましたが、改めてAIを導入した画像認識と一般的な画像認識では何が異なるのでしょうか。 そもそも人工知能(AI)とは、人間の知的なふるまいをコンピュータで模倣したシステムを指します。つまり、限定された領域であっても、人間のような知能を持っているシステムのことを意味します。ただの機械であれば、人間が与えた指示の通り情報処理を行うだけです。 ディープラーニングの登場によって、人間によるデータの特徴抽出を行わず、与えられた画像データから最初から最後まで自動的に特徴抽出してくれるようになりました。ここでは人は対象のデータセットの特徴量を定義する必要すらないのです。 そしてそれにより、大量のラベル付けさせたデータと高度なコンピュータの処理能力があれば、高いレベルの認識精度に自動的に到達していきます。ゼロからアルゴリズムを考え出す必要がない分、人間への負担も軽減されます。 これは学習能力のない、または人間が特徴量を定義する一般的な画像認識にはできないことになります。またこの進歩は人の介入を遠ざけることができるという、重要な意味も持ちます。AIの導入によって、機械の物体認識はより人間に近づき、より自律的に考えるように進歩したのです。 画像認識の発展の理由 画像認識はディープラーニングなどのAI技術と関わりながら発展してきました。ここではなぜ画像認識がAIにより発展していったのかについて背景をみていきます。 AI技術の発展 1950年代後半からコンピュータによる推論や探索が可能となり第一次AIブームが訪れて以来、AIはブームと冬の時代を交互に経験しました。 そして現在、ディープラーニングの登場をきっかけに、AI、IoT、ビッグデータをキーワードに第三次AIブームが訪れています。 第三次AIブームを巻き起こしたのは、囲碁AIの劇的な進化です。2016年3月10日、韓国ソウルのフォーシーズンズホテルで当時世界トップクラスと目されていたプロ棋士を、天才デミス・ハサビス率いるGoogle DeepMindの囲碁AI「アルファ碁」が負かしました。コンピュータが囲碁で人間を超えるのは10年以上先と見られていたので、その急速な進化に世界は驚かされたのです。 現在、三度目のブームを迎えた人工知能は画像処理や音声処理、自然言語処理などのあらゆる分野に適用されています。 トリプルアイズ では、2014年から囲碁AIの研究開発を進めてまいりました。画像認識技術の基礎研究は囲碁AIによって鍛えられると考えたからです。前述のGoogleやFacebook、テンセントなど名だたる世界企業と競い、2019年には世界大会で2位という好成績をおさめることができました。 囲碁AI開発で培った技術力が実を結び、2019年には、「画像認識プラットフォーム・AIZE」をローンチし、顔認証AI技術をビジネスや社会に提供しています。 画像認識とディープラーニング 昨今話題となっているディープラーニングですが、実は提案されたのは2006年であり、2012年のILSVRCで話題になるまで随分と時間を要しています。これは、ディープラーニングでは過学習が起こりやすいことが原因にあります。 そのためディープラーニングの適用には工夫が必要となりますが、画像認識で用いられている畳み込みニューラルネットワークでは多層にしてそのまま学習が行えるため、明らかに性質が異なります。 この相性の良さにより、ディープラーニングは画像認識領域で頻繁に使用されてきました。このことが近年の画像認識技術の大幅な進歩につながったのです。 ビッグデータの出現 画像認識おいて、コンピュータが学習するためには大量の画像データが必要になります。インターネットの普及によって、それが可能になったことで、ディープラーニングの精度が高まりました。 インターネットなしに猫の画像を集めるのは限りがありますが、インターネット上では瞬時に猫の画像を何千万枚も取得することができます。大量のデータを与えれば与えるほどAIは賢くなります。 今後、5Gによって高速大容量通信が可能になることで、ますます画像認識の技術は発達していくでしょう。 高精度カメラデバイスの普及 スマホで画像や動画を撮ることが当たり前の世の中になりました。画素数の飛躍的な増大で分かるとおり、その性能はデジタルカメラに劣ることはありません。しかも撮った画像はすぐにSNS上にアップされます。 また、カメラはスマホに限らず様々なものに搭載されるようになりました。いつでもどこでもどこからでも画像がweb上に送られる環境が整ったことで、画像認識AIの学習機能が飛躍的に高まりました。 画像認識技術の発展は、ひとえにディープラーニングのおかげと言えるでしょう。そしてディープラーニングが数年であっという間に実用化できた背景には、「ビッグデータの取得が用意になったこと」「アルゴリズムの最適化」「計算資源としてのハードウエア(PC)の高速化」が挙げられます。 顔認証の分野は、2020年から始まったコロナ感染症の世界的な流行により、大きな転機を迎えました。世界中の人々がマスクをすることによって、顔認証の精度が著しく低下してしまったためです。 そのため、国内外のAI企業は、マスク装着時の顔認証精度向上に努め、これによって顔認証の技術は1段階上のレベルへと到達する事ができました。大きな危機を迎えることによって、イノベーションが起こったのです。トリプルアイズ でも、2021年4月には顔認証マスク装着バージョンをリリースしました。詳しい開発の経緯は下記でご覧ください。 「マスクでも顔認証が可能に 〜AIエンジニアに聞くコロナ禍でのAI技術の進化」 画像認識で解決できる課題 画像認識技術が発達したことによって「コンピュータが眼を持った」と言われるようになりました。しかも、見る能力においては人の目よりも高精度であり、解析の能力においては人間を遥かに凌駕する演算能力を有しています。 この画像認識技術によって、下記のような課題が解決されると期待されています。 ①支援型:従来の人の業務を支援する 画像認識技術によって省力化、生産性向上につなげます。 顔認証によるスマホ、PCへのログイン 行政手続きにおける本人確認の簡素化 顔認証によるオフィスや工場での勤怠管理 店舗における接客業務のサポート ②代行型:従来の人の業務を代行する 画像認識技術によって無人化を進め、人手不足解消に寄与します。 防犯カメラによる各種監視 顔決済によるキャッシュレスレジの実現 顔認証による入退室管理 顔認証による空港での搭乗手続き 地下鉄、鉄道での顔認証による改札 各種eKYCのなりすまし防止 ③拡張型:人のスキルを拡張した業務を行う 画像認識技術によってこれまで人の能力では不可能だったことを実現します。 自動運転における道路状況把握 顔認証によるマーケティングデータの解析 物体検知による損傷部位検査 画像による人流測定、群衆分析 ドローンと画像分析による農業サポート 画像認識を活用した事例 画像認識技術は身近なところに使われています。ここでは、顔認証技術を用いた課題解決の実例を紹介します。 Osaka Metroが顔認証を用いた次世代改札機の実証実験を開始 引用元:https://www.osakametro.co.jp/ Osaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)は、顔認証を用いた次世代改札機の導入に向けた取組みを進めており、2019年12月10日(火曜日)から御堂筋線大国町駅など4つの駅で社員を対象とした実証実験を行っています。 改札機に備えつけたカメラで顔を捉え、事前登録した顔写真データと照合・承認により改札ゲートを開閉するという仕組みです。Osaka Metroでは、2024年度には全駅で顔認証によるチケットレス改札の導入を目指しています。 ▷参考:顔認証を用いた次世代改札機の実証実験を開始します(2020年9月30日変更) ヤマダ電機の顔決済 引用元:https://www.yamada-denki.jp/ 2020年2月28日、大手家電量販店のヤマダ電機は量販店では日本で初めてとなる顔認証決済サービス「ヤマダPay」をスタートしました。 お客さんは、あらかじめスマホから自分の顔画像を登録しておくことにより、来店時にはタブレットに顔をかざすだけで買い物ができる仕組みです。財布もカードも不要な新しい消費スタイルが登場しました。この本人認証を受け持つ顔認証AIにはトリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEが採用されています。 参考:LABI カード会員「ケータイ de クレジット」に顔認証決済サービス「ヤマダ Pay」導入のお知らせ 参考:5分でわかるAIZE 参考:顔認証のAIZE・AIを使った課題解決型顔認証ソリューション コミュニケーションロボットに画像認識機能を搭載 可愛い身振りで応答するコミュニケーションロボットSota(ヴイストン社)に、新たに画像認識機能が搭載されました。目の機能を受け持つ画像認識機能はトリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEが採用されています。 受付や店頭でお客様の顔を覚えて応答することで、接客機能が大幅に向上しました。またお店の管理画面には来店客の属性がデータとして蓄積され、店舗運営に役立ちます。このAIロボットは、銀座メガネ全店に導入され活躍しています。 参考:地域密着型のメガネ店がAIZEとロボットを全店導入 顔認証+検温で感染症対策 コロナ禍において、非接触で簡単で、かつ精度が高い検温システムが求められています。顔認証と検温機能が一つになったサーモグラフィーは、飲食店や美容院、工場、学校、病院など様々なシーンで利用されています。 画像認識プラットフォーム・AIZEが搭載されたAIZE Biz+は、管理画面に顔画像と時刻、体温が表示されることから、万一感染者が発生しても、2週間前に遡ってトレースすることができます。 参考:コロナ対策だけじゃ終わらない。ビジネスの常識が変わりはじめた今こそAI導入を! 顔認証が進める美容チェーンにおけるDX 北海道から福岡まで全国21店舗を展開するシェアサロンGO TODAY SHAiRE SALONでは、タブレットでの来店受付、スマートマットでのシャンプーなどの自動発注、さらに自社アプリの開発を進め、多くの業務を自動化しています。タブレットの受付は一般企業ではよく使われるがサロンでは珍しいもの。スマートマットはホテルなどでよく使われるシャンプーの中身が空に近づくと自動で発注してくれるツールです。 さらにコロナ禍において、スマートでスムーズな感染症対策ツールとして、AIZE Biz+を導入しました。メインクルーの出退勤と検温が1台の端末で完結するとともに、お客様や関係業者を含む、店舗に出入りするすべての人の検温が1台で完結。 また、AIZE Research+を併せて導入することで、メインクルー・お客様の属性データの取得ができ、顧客管理や新サービス導入の際のマーケティングデータとしての活用が可能となりました。 シェアサロンという、美容師の働き方を大きく変えるビジネスモデルを開発した同社にとって、顔認証をはじめとするITツールはもはや欠かせないものになっています。 画像認識の未来 画像認識技術はAIの導入とともに大きく発展しました。物体認識AIは人間と互角の正答率を示し、すでに各業界で実用化が進められています。またIoT技術の発展やビッグデータの活用によって、さらに画像認識技術の活用の幅は広がっていくことが予想されます。 そして顔認識の精度向上や感情認識技術の確立などの技術的な進歩や、動画データなどに対し音声データや言語翻訳におけるAI技術と合わせた技術の開発により、さらなる盛り上がりが期待されます。 まとめ 画像認識について理解が深まったでしょうか?画像認識の技術は、すでに街中の至る所で用いられていますが、その技術はAI(人工知能)のディープラーニングの進化とインターネットによって持たらされたものです。 画像認識技術によってコンピュータが眼を持つことができました。その眼は大量のデータを高速で処理できることや精細な分析機能を持つことから、すでに人間の眼を超えていると言っていいでしょう。 顔認証技術が普及することで、本人認証がポイントとなる行政サービスや金融サービスがガラッと変わることでしょう。コンビニの決済や駅の改札も顔パスになるのはそんなに遠いことではありません。 もっと詳しく画像認識のサービスを知りたい方はこちらまで。   資料ダウンロード
    • 2021.03.26
    • 顔認証
    • 顔認証を活用した体温計はどのくらい正確なの?体温計の種類やそれぞれの特徴、顔認証体温計を使用するメリット、事例を解説
    • ■目次■ 1.顔認証体温計と他の体温計との違い  -接触型の体温計  -ハンディータイプの体温計  -顔認証体温計 2.顔認証とは 3.顔認証体温計を使用するメリット  -非接触で自動検温を行える  -検温のログを残せる  -検温以外の用途にも使える 4.顔認証体温計の比較 5.顔認証体温計の活用事例  -顔認証体温計を使用して検温と勤怠管理を行っている事例  -顔認証体温計を使用して検温とマーケティングに活用している事例 6.トリプルアイズの顔認証体温計の性能紹介 7.まとめ 顔認証体温計と他の体温計との違い 先述の通り、体温計にはいくつかの種類があります。ここでは、大きく分けて3種類の特徴をご紹介します。 接触型の体温計 体温計を身体に接触させて体温を測る方法は2つあります。1つ目は、実測式といわれるものです。こちらは、脇や耳、口内を使用して実際の体温を測ります。脇や口を閉じて計測を始めてから体温を測定し終わるまでに、脇でおよそ10分、口の場合だとおよそ5分かかります。 2つ目は、予測式といわれるものです。こちらは、実測式体温計でおよそ10分かかる測定を、温度と温度変化を分析・予測し表示させます。 接触型の体温計は、一番正確な体温を測定できますが、時間がかかる点と、体温計と検温対象者が接触してしまうため、消毒の手間やウイルス感染リスクが懸念されます。 ハンディータイプの体温計 ハンディータイプの体温計の場合、検温対象者のおでこや手首に体温計を向けて計測します。検温してから数秒で肌に触れることなく測定が可能です。 ハンディータイプの場合、測定時間は短いですが測定を行う人員を確保する必要があります。 顔認証体温計 顔認証体温計の場合、AIを搭載した検温機に顔をかざすだけで体表面温度を自動検温できます。そのため、接触する心配も、人員を確保する必要もありません。 検温スピードは0.5秒〜1秒ほどで、最近ではマスクを着用したままでも顔認証検温ができるものもあります。 検温データをクラウド上に保存しておくことができるものもあるので、いつ誰がどのくらいの体温だったのかをログで残しておけます。また、異常体温を検出すると警報音が鳴るものや、メールを通知してくれるものもあります。 そのため万が一、異常体温者が出てしまっても入室を未然に防ぐことができます。 ログを残しておけるので、検温だけでなく勤怠管理システムやマーケティングデータとして活用することもできます。 搭載しているAIによって、検温精度は異なります。ほどんどの顔認証体温計は中国製のAIを搭載しており、精度はあまりよくありません。国内のAIを搭載している顔認証体温計は、比較的高性能で、誤差は±0.3℃です。 国内でAIを開発している企業はほとんどなく、トリプルアイズは国産AIを開発しているリーディングカンパニーの一つです。 囲碁AIの世界大会で2位を取った実績もあり、高い顔認証精度を誇っています。自社で開発しているので、国外への情報漏洩の心配もありません。 参考:AI顔認証技術を活用した非接触型自動検温機 顔認証とは そもそも、顔認証とはどのようなものなのでしょうか。 顔認証とは生体認証の一つで、顔の目、鼻、口などの特徴点の位置や顔領域の位置や大きさをもとに照合を行う認証技術です。 すでに顔認証技術は、勤怠管理、入退場管理、キャッシュレス決済、ロボットによる受付業務、搭乗手続き、入国審査などに活躍しています。また、コロナウィルスが流行して以降は、顔認証機能が搭載された自動検温機が普及しています。 ▷関連記事:【初心者向け】今話題の生体認証とは?種類やそれぞれの特徴、メリット、問題点、活用事例を紹介 顔認証体温計を使用するメリット 先述の通り、顔認証機能が搭載された体温計が普及しています。なぜ、顔認証体温計がここまで使用されているのでしょうか。 ここではメリットをご紹介いたします。 非接触で自動検温を行える 接触型体温計やハンディタイプの体温計は、検温する際に接触が発生したり測定用の人員を確保する必要があります。しかし顔認証体温計は、顔を認証させることにより自動で体温を測定できるため、接触する必要がなく人員も確保する必要がありません。 そのため接触のリスクがなくなり、検温される方に安心してご利用いただけるだけでなく、体温測定の人員コストも削減できます。 検温のログを残せる 接触型体温計やハンディタイプの体温計の場合、検温を行った後に体温を手動で記録する必要があります。それだと手間がかかりますし、忙しい時には記録を忘れてしまう可能性もあります。 顔認証体温計で検温を行うと、クラウド上に体温のログを残しておくことができます。万が一、会社で発熱してしまった場合でも、出社時は平熱だったという事実を証明できます。 検温以外の用途にも使える アフターコロナにおいても、検温のニーズがなくなることはありません。また、経済産業省の調査によると、今後ますますAIを活用した企業のDX化が進むことでしょう。 基本的に、接触型体温計やハンディタイプの体温計は検温することしか用途がありません。しかし、顔認証体温計は検温以外にもさまざまな用途があります。 先述の通り、体温のログをクラウド上に残しておくことができます。 例えば、顔を登録しておけば顔認証システムと勤怠管理システムを連携させることにより、検温と同時に出退勤まで自動で管理することができます。また、流通業や飲食店、サービス業などでは、来客数や属性、リピート分析、感情分析などにも活用できます。 これにより、アフターコロナにおいても顔認証を活用した自動検温機は有効活用できます。 参考:コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像 顔認証体温計の比較 上述の通り、顔認証体温計を利用することはさまざまなメリットがあります。しかし、世の中には似たような自動検温機がたくさん出回っており、どれがいいのかわからないという方も多いと思います。 ここでは、顔認証体温計の中で特に世の中に普及している製品を比較してご紹介します。 顔認証体温計の活用事例 顔認証体温計の活用事例を紹介します。 顔認証体温計を使用して検温と勤怠管理を行っている事例 株式会社新井精密は、顔認証体温計を使用して従業員の検温と出退勤を行うために「AIZE Biz+(顔認証技術と自動検温装置を組み合わせた非接触型の勤怠認証システム)」を導入しました。新井精密は、自動車部品をはじめ空圧機械部品や医療機器部品、電子機器部品など、幅広い分野で高品質・高精度の金属加工を行っています。 検温に関しては、従業員の自己申告制で行っていたため、本当に全員が検温を行っているのかがわからなかったとのことです。 顔認証体温計を導入することにより、従業員個別の検温記録が管理PCに記録され、いつ、誰が来たのかも顔画像で記録されるので、防犯上のメリットもあります。 当面は検温管理を主な目的としますが、アフターコロナのAI活用を見据えて、顔認証体温計を選択しました。 下記記事でより詳細なインタビューをご紹介しています。ご興味がある方はぜひご参照ください。 ▷関連記事:「検温+顔認証」で精密機械工場の従業員感染症対策を実現 顔認証体温計を使用して検温とマーケティングに活用している事例 株式会社龍名館が運営している日本食レストラン、花ごよみ東京は、顔認証体温計を使用して従業員とお客様の検温とホスピタリティ向上のために「AIZE Research+(顔認証技術と自動検温装置を組み合わせた非接触型の顧客管理システム)」を導入しました。 花ごよみ東京は、海外からの旅行客や出張で利用する役職つきのビジネスマンが客層の中心となっている高級ビジネスホテルです。 花ごよみ東京が大切にしている「エクセレントサービス」に則った形で、お客様やスタッフの安全を確保することが大切でした。また、検温結果がデータで正確に保管され、後から確認できること、さらには現場の負担を考慮し、可能な限り検温と管理を自動化させることが重要なポイントでした。 そのため、お客様にもスタッフにも負担や抵抗感がなく、自動でデータが記録される非接触型自動検温機の導入を検討するに至りました。 データが自動管理されるため、いつでもさかのぼって特定のデータを確認できることが店舗運営においても安心材料になります。 下記記事でより詳細なインタビューをご紹介しています。ご興味がある方はぜひご参照ください。 ▷関連記事:レストランの入口でスマート検温。ホスピタリティと安全を両立 トリプルアイズの顔認証体温計の性能紹介 ここまでは、体温計の違いや顔認証体温計を使用するメリット、導入している企業様の導入事例などを紹介しました。 顔認証体温計を使用することが、利用者にとっても運用者にとっても最適だということがお分かりいただけたでしょうか。 最後にトリプルアイズが提供している、顔認証技術と自動検温装置を組み合わせた非接触型の勤怠認証システム(AIZE Biz+)の性能についてご紹介します。 認証/検温精度の正確さ 顔認証体温計を用いて検温を行う場合、検温機能と顔認証機能の精度の正確性がとても重要になります。多くの製品は、中国製の検温アプリと顔認証AIアプリを搭載しています。 AIZE Biz+は、トリプルアイズが独自で開発した検温アプリを搭載しております。また顔認証ではクラウド上にある自社製AIエンジンを使用しております。そのため、高い認識率と検温精度の正確性を誇っています。 検温精度に関しては「週刊ポスト」(2020.11.20号/小学館)にも取り上げられ、検温機全6種類のなかでもっとも信頼できる数値と評価されました。 ▷関連記事:顔認証システムを自動検温機で比べてみる 拡張性の高さ 先述の通り、AIZE Biz+は自社開発のAIアプリを搭載しています。そのため、お客さまのご要望に併せて柔軟にカスタマイズが可能です。また、お客さまにとってより使いやすいものとなるように、定期的に機能のアップデートを行っています。 例えば、マスクを着用したまま検温を行う際の精度の正確性向上を定期的に行っていたり、さまざまな機能追加を行っています。 ▷関連記事:マスクでも顔認証が可能に 〜コロナ禍でのAI技術の進化を解説 まとめ 本記事では、体温計の種類からそれぞれの特徴、顔認証体温計の活用事例などをご紹介しました。 また、体温の検温は当たり前となっており、アフターコロナにおいても検温の文化は残ることが見込まれています。利用者にも運用担当者にとっても、正確かつストレスなく体温が測定できるものを選ぶことが大切です。 検温機能だけでなく、さまざまな用途にも活用できるAI顔認証体温計を使用することによって、企業のDX化も図れるので、この機会にぜひご検討ください。 資料ダウンロード
    • 2021.02.24
    • 顔認証
    • マスクでも顔認証が可能に 〜AIエンジニアに聞くコロナ禍でのAI技術の進化
    • 今回インタビューをしたAIエンジニア 片渕博哉(かたぶち・ひろや) 株式会社トリプルアイズAIZE事業戦略本部所属 画像認識プラットフォーム・AIZEのメインエンジニア。 2016年、トリプルアイズ入社。同年、AIの研究開発から学習アーキテクトの構築をメインに、多種多様の企業案件やAIを使用した音楽配信レコメンドサービスの開発に従事。2017年には、クラウドIoTモータ管理システムを用いた大学との共同研究開発において、実証実験の仕様決定やインフラ設計、アプリケーション開発を担当。直近では、AI技術者教育サービス「CSEA」のリーダーとして、カリキュラムや教材の作成に従事するかたわら、囲碁AIソフト開発マネージャーや他社への講演活動も積極的に行っている。 片渕博哉が監修しているAI通信教育プログラム「AT20」も好評開催中です。 https://at20.info/   【AIを学びたい方必見!】 AI通信教育プログラムのご案内 囲碁AIの世界大会で第2位、国内で1位2位独占という実績があり、AIの技術力は世界トップクラスである株式会社トリプルアイズが、 AIエンジニア育成のための通信教育プログラム「AT20」のサービスを開始しました。 ■選べる4つのコース トリプルアイズでは、最先端技術(Advanced technology)に携わる社員の比率を20%以上に引き上げるために独自の教育プログラムを実施しています。 通信教育方式で毎週の課題をこなしながら実務で通用するAIエンジニアリングの技能を身に付けています。 以前より他社からお問い合わせをいただいていたこの教育プログラムを、教育サービスとして提供を開始しています。 AT20は、プログラム未経験者からAIエンジニアとして実践スキルを身につけたい人まで、最適なコースを設けており、習熟度に合わせて学習スケジュールを決められます。 また、通信教育での自宅学習になりますので、時間に拘束されずに勉強を進めることが可能です。 こんな方におすすめ ・最先端のAI技術を学びたい ・従来型IT技術者の再教育を行いたい ・営業や経営陣にもAIの知識を身につけさせたい 人材やスキルが不足してDXが進まない企業や、AIの技術を身につけたいエンジニアの方は、お気軽にお問い合わせください。 \ 200名以上が受講中! / 詳細はこちら ■目次■ 1.技術者にショックを与えた米国立標準技術研究所(NIST)の報告  ーマスク装着によるエラー率は5%~50%に上る  ー黒いマスクのほうが、水色のマスクよりもエラーを引き起こしやすい 2.Face IDはマスク認証を諦めた?  ーFace IDはマスクをかけているとロックを解除できない  ーマスクを認識したらパスコード入力画面に切り替わる 3.進歩を感じさせたアメリカ国土安全保障省(DHS)の報告  ーマスクありで96%、マスクをなしではほぼ100%の認証率  ーマスク認証は緊急課題として世界中のエンジニアが取り組んだ 4.マスク認証への日本企業の取り組みは?  ーNEC 目に重点を置いて特徴点を抽出する仕組みにして認証の精度を高める  ー富士通研究所 「疑似マスク」を顔画像に重ねることでマスク着用顔画像を生成  ーパナソニック マスク着用時等の顔検出率を従来比で3.1倍、顔認証率を2.2倍向上  ーパナソニック マスクを装着したままで来店客の性別と年齢を推定できる機能を開発 5.トリプルアイズ、AIZE開発エンジニアに聞くマスク顔認証の今 6.アフターコロナでもマスクで顔認証は必須 技術者にショックを与えた米国立標準技術研究所(NIST)の報告 マスク装着によるエラー率は5%~50%に上る 米国立標準技術研究所(NIST)は2021年7月、「マスクは非常に高度な顔認識アルゴリズムの人物特定さえも阻止する。アルゴリズムの性能によってエラー率は5%~50%に上る」と発表しました。 顔認識アルゴリズムは、人物の画像から可能な限り多くのデータポイントを取り込む必要がありますが、マスクは人物の特定に重要な情報の多くを見えなくしてしまいます。アルゴリズムは光の加減や角度が悪いだけで認識がうまくいかない側面があり、マスクはその成功率をさらに下げることを研究は明らかにしています。 マスクをした人物画像では、最も確度の高いアルゴリズムでもエラー率が0.3%から5%に跳ね上がりました。 黒いマスクのほうが、水色のマスクよりもエラーを引き起こしやすい NISTでは、マスクをした画像を使って89の顔認識アルゴリズムの効果をテストしています。このテストは、アルゴリズムの「1対1」での照合能力を調べるために、ある人物の画像をその人物がマスクをした別の画像と比較する形で行われました。 この調査では、マスクで鼻を多く隠すほどアルゴリズムの識別率が低下することも判明しました。また、黒いマスクのほうが、水色のマスクよりもアルゴリズムのエラーを引き起こしやすいとの結果が出ています。 ▷参考:https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/ir/2020/NIST.IR.8311.pdf この研究結果は、コロナウイルス感染症が収束を見せない中、顔認証技術に携わる技術者たちにショックを与えると同時に、マスクをしていても認証できるよう新しい技術の取り組みを促しました。 実は、NISTの報告よりも以前に、巷ではマスクと顔認証についてネットでは盛んに記事が出ていました。iPhoneの顔認証によるロック解除機能についてです。 Face IDはマスク認証を諦めた? Face IDはマスクをかけているとロックを解除できない 「マスク 顔認証」で検索すると、iPhoneのFace IDの記事がたくさんヒットします。一般の人々に顔認証技術に接する機会を与えたという点では、iPhoneには功績があります。しかし、多くの記事は、Face IDがマスクをかけているとロックを解除できない、またはどうすれば裏技を使ってロックを解除できるのかというものでした。どうやらFace IDはマスク認証が苦手のようです。 iPhoneでは、2017年モデルからFace IDと呼ばれる顔認証システムを導入しました。従来は指紋認証によって認証していたものを、顔認証によって画面を見るだけでロック解除できるようになりました。 導入当初は、認識スピードが速いとうことで肯定的なコメントが多かったFace IDですが、コロナウィルスの流行でその論調は一変しました。基本的にFace IDではマスクをしていると認証ができないからです。サングラスなら問題なく認証できるのに、コロナ禍でマスクを外して認証しなければならないのは不便と言えるでしょう。 マスクを認識したらパスコード入力画面に切り替わる 2021年5月頃にアップデート予定のiOS 13.5では、マスクを取らなくてもiPhoneをロック解除できる機能が搭載されるということです。 これは、Face IDがマスクを認識した場合、ホーム画面を上にスワイプするだけでFace IDをスキップし、パスコード入力する画面に切り替わるというものです。早い話、Face IDはマスクを認識したら顔認証は諦めるということのようです。 進歩を感じさせたアメリカ国土安全保障省(DHS)の報告 マスクありで96%、マスクをなしではほぼ100%の認証率 NISTの報告から半年後の2021年の年明け早々、アメリカ国土安全保障省(DHS)科学技術局(S&T)は、最新の顔認証技術では、マスクをした飛行機の搭乗客の顔をほぼ正確に識別できると発表しました。 DHS傘下の試験所で開催された2020年度生体認証技術大会(Biometric Technology Rally)で、最高の成績を修めた認証システムは、マスクありで96%、マスクをなしではほぼ100%の認証率だったそうです。ここでは、さまざまなカメラやアルゴリズムを組み合わせた60の顔認証システムがテストされました。 試験結果よると、マスクありの場合、認証率の中央値は77%だったのに対し、マスクなしの場合は93%でした。 ▷参考:https://www.dhs.gov/science-and-technology/news/2021/01/04/news-release-airport-screening-while-wearing-masks-test マスク認証は緊急課題として世界中のエンジニアが取り組んだ 空港などの顔認証技術を使用する必要がある組織が適切なシステムを導入することで、旅行者などが顔認証のためにマスクを外す必要がなくなり、旅行者や空港スタッフの感染リスクを軽減できるだろう、と報告書は述べています。 これを見る限り、マスク認証は喫緊の課題として世界中のエンジニアが取り組み、成果を出しつつあることが伺えます。 ■マスク認証への日本企業の取り組みは? では、日本ではマスク認証技術どのような状況でしょうか? ここでは代表的な大手企業の状況を見てみましょう。 NEC――目に重点を置いて特徴点を抽出する仕組みにして認証の精度を高める ▷参考:https://jpn.nec.com/ NECは2020年9月24日、マスクを着けている人を高精度で認証する新しい顔認証エンジンを開発したと発表しました。 人の目の周りから特徴点を抽出し、元データと照合して本人確認を行う仕組みです。NECの社内評価では、1対1認証(個人の生体情報を呼び出した上で、本人と比較する方式)での認証率が99.9%以上でした。 従来のエンジンは目・鼻・口から特徴点を抽出していましたが、新しいエンジンは、目に重点を置いて特徴点を抽出する仕組みにし、認証の精度を高めたそうです。マスクに色や柄があっても問題ないということです。 マスク着用の有無に応じて分析アルゴリズムを切り替える機能も持ち、具体的には、カメラが人の顔を検出すると、まずマスク着用の有無を判定し、マスクを着けている場合は目の周り、そうでない場合は鼻や口などから特徴点を抽出するという仕組みです。 ▷参考:https://jpn.nec.com/press/202009/20200924_01.html 富士通研究所――「疑似マスク」を顔画像に重ねることでマスク着用顔画像を生成 ▷参考:https://www.fujitsu.com/jp/ 富士通研究所は2021年1月21日、顔情報で照合対象者を絞りこみ、手のひら静脈で本人を特定する非接触な生体認証を融合させたマルチ生体認証において、マスクを着用していても、マスク着用なしと同等レベルの99%以上の高精度で本人特定が可能な認証技術を開発したと発表しました。 一般的な顔認証技術では、マスクを着用した顔から絞り込みに有用な顔部位の形や位置関係などの特徴量を抽出するために、露出している目の領域のみを利用する方式を採用していました。この方式では、顔全体の特徴量が抽出できないため、情報量の低下により本人が認識されないという問題がありました。 開発した技術では、マスクを着用しても輪郭の形状など顔全体の特徴量抽出を考慮しつつ、マスク着用の影響を低減するために、マスク非着用の顔画像にマスクを付加した画像を生成し学習させることで、マスク着用時でもマスク非着用時と同等レベルの精度で絞り込みが可能となり、同一人物として認識することができます。具体的には、目や鼻の位置など顔の特徴点から顔の姿勢を推定し、その推定結果に基づいて「疑似マスク」をリサイズ、変形させて顔画像に重ねることで自然なマスク着用顔画像を生成します。さらに、様々な色や柄、形のマスクが流通している状況に対応するため、様々なタイプのマスクを付加しました。 ▷参考:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2021/01/21.html パナソニック――マスク着用時等の顔検出率を従来比で3.1倍、顔認証率を2.2倍向上 ▷参考:https://biz.panasonic.com/jp-ja/ パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパンは、2020年11月4日、アプリケーション提供プラットフォームの構築を拡充し、様々な開発ニーズに応えるため、顔認証APIエンタープライズエディションの提供を開始すると発表しました。 顔認証APIエンタープライズエディションではエンジンの性能を向上し、顔認証速度を従来比で最大10倍高速化。また、マスク着用時等の顔検出率を従来比で3.1倍、顔認証率を2.2倍向上させたということです。 ▷参考:https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/11/jn201104-3/jn201104-3.html パナソニック――マスクを装着したままで来店客の性別と年齢を推定できる機能を開発 パナソニックは2020年10月16日、Vieureka来客分析サービスにおいて、業界で初めてマスクを装着したままでも来店客の性別と年齢を推定できる機能を開発したと発表しました。 Vieureka来客分析サービスは、Vieurekaカメラ内の画像解析アプリによって「来店客の人数」や「属性情報(性別、年齢、滞留時間)」をデータ化するサービスを提供してきました。しかし、コロナ禍では大多数の来店客がマスクを装着する状況になり、顔認識から性別と年齢の属性を推定できないという課題が発生していました。 今回、PUXが開発したディープラーニングの手法を活用した顔検出エンジンをVieurekaカメラVRK-C301に搭載することで、マスク装着時においても性別と年齢の推定を行い、来店客の属性のデータ化が可能になったということです。 ▷参考:https://news.panasonic.com/jp/topics/203983.html トリプルアイズ、AIZE開発エンジニアに聞くマスク顔認証の今 トリプルアイズでは顔認証のためのAI「画像認識プラットフォーム・AIZE」を提供している。マスク着用での顔認証技術の精度向上はどのように行われているのか、開発エンジニアである片渕博哉に話を聞いた。 顔検出と顔認証と属性推定 そもそも、顔認証技術はマスクをかけていないことを前提に開発されていました。現在の情勢において、世界中のほとんどの人がマスクを装着するようになりました。鼻と口、ほほの部分が隠れることにより、「顔認証」の技術的なハードルがかなり上がりました。 ひと口に顔認証と言いますが、そこにはいくつかのフローがあります(下図参照)。 顔認証のフロー 認知した画像からそこに写っているものが「顔」なのかどうかを判断することを「顔検出」といいます。そして検出した顔からAIが顔の特徴を抽出してデータベースと照合することによって「顔認証」が行われます。 検出した顔がデータベースに登録している顔画像のどれと一致するのか判定するわけです。また、それとは別にAIに「属性を推定」させることも可能です。検出された顔が男性なのか女性なのか、何歳ぐらいなのか、笑っているのか怒っているのかなどを推定します。 ハードルが高かった「マスクなし画像⇄マスクあり画像」の認証 新型コロナの流行により、ほとんどの人がマスクを着用することで、「顔検出」「顔認証」「属性推定」など全ての面でAIは劣勢を強いられることになりました。 まず、従来のアルゴリズムでは、マスクをつけていると、この時点で「顔」であると認識することが難しかったのです。つまりスタート地点の顔検出で間違いをたくさん犯すようになりました。 ただしこれはそれほど難しい問題ではありませんでした。マスクをつけている人の画像をAIに「顔である」とたくさん学習させることで解決したからです。現在は、当社も含めてほとんどのAIはマスク着用でもきちんと「顔検出」できていると思います。 次に、顔画像から本人を特定する「顔認証」の問題に移りました。検出した顔から特徴を抽出してデータベースと照合します。マスクをつけるということは、露出している顔の半分以上を隠すわけです。鼻や口元が隠れてしまうので認証の難易度が上がることは容易に想像できるでしょう。 ここでの認証の問題は二つに分けられます。「マスクなし画像⇄マスクあり画像」と「マスクあり画像⇄マスクあり画像」です。データベースに登録している顔画像が最初からマスクありであれば、マスク自体も顔の特徴と捉えることによって認証は可能です。難しいのは「マスクなし画像−マスクあり画像」です。 同一人物であってもマスクを着用することで、AIが別人であると認識してしまう確率が大幅に高まったために早急に改善する必要がありました。 さらに顔認証の問題は二つに分けて考えなければなりません。「1対1照合」と「1対N照合」です。「1対1照合(Verification)」とは、任意の画像と画像を比較して同一人物かどうかを判断するものです。 それに対して「1対N照合(Identification)」とは、一つの画像が他のたくさんの画像の中のどれと同一人物かを判断するものです(下図参照)。 空港でのパスポートとの照合やコンサート会場での本人確認は「1対1照合」、勤怠認証や顔決済など複数の登録データから本人を特定するのは「1対N照合」になります。 例えば、マスクをしていても、家族や友人、知人など見知った人なら見分けがつきますよね。「1対1照合」はこれに似ています。でも、まったく知らない人のマスクをかけた写真を見せられて、これと同じ人をたくさんの写真の中から選びなさいと言われたら、どうでしょう? 相当困難なはずです。私は自信がありません。それが「1対N照合」です。 お手本のモデルがない中でいかに認証精度を上げるか 私たちが開発してきたAIZEでは、従来、マスクなしの正面画像であれば「1対N照合」でも99%以上の精度で認証が可能でした。実際、ヤマダ電機様で使用されている顔決済のアプリ「ヤマダPay」では顔認証の機能をAIZEが受け持っているのですが、開始から1年を通して、誤って他者の顔で決済をしてしまったケースは一度もありません。 マスクをした状態で「1対N照合」において、いかに認証精度を上げるかというのが、この1年の私の課題となりました。 私たちが取った手法は、任意の顔画像に合成して作ったマスク画像を着用させてAIに学習させるというものです。マスクも今は様々なバリエーションがあるので、色と形状のパターンを複数学習させて精度の向上を図りました。 この精度向上のために半年間を費やしました。一番大変だったのが、情報がないことです。マスク認証についてはお手本になるAIモデルがないので、一から自分たちでアイデアを出し、検索アプローチやデータアプローチを繰り返し、試行錯誤しながら進めてきたという経緯があります。 マスク着用時でも認証率98%を実現 現在では(2021年4月時点)、半年前に比較すると以下のようにマスク認証の精度を向上させることができました。 正面から顔を捉える場合は、上記の精度となりますが、ウォークスルー(防犯カメラタイプ)については設置環境にもよりますが、80%程度となります。理由としては、暗かったり下を向いていたりして顔をうまく捉えられないケースが多いためです。 つまりどんなにAI側の精度を上げても、カメラ環境(撮影環境)に左右される問題は残り続けますので、そこは課題として取り組んでいきたいと思います。勤怠認証や顔決済など、認証精度が求められるケースでは、正面での顔認証となりますので、今回の精度向上で、運用への適用が可能なところまで来たと考えています。(談) アフターコロナでもマスクで顔認証は必須 すでに世界では、どこの国においても外出先ではマスクをすることが日常的な光景になっています。コロナウィルスの流行が仮に収束したとしても、マスクをつける習慣は、自己防衛やマナーの観点からすぐになくなることはないでしょう。 かたや顔認証に対するニーズは今後も高まってくるでしょう。顔で決済したり、顔で改札を通ったり、顔がID証明になるといった「顔パス社会」への移行は現在進行中です。 マスクを装着していても高い精度で顔認証が可能なシステムが求められる所以です。 ▷関連記事:顔認証システムを自動検温機で比べてみる 資料ダウンロード
    • 2021.02.24
    • 顔認証
    • 顔認証システムを自動検温機で比べてみる
    • ■目次■ 1.顔認証システムでなにができるか? ー生体認証のひとつ、顔認証システム ー顔認証システムが主流になるわけ ー顔認証システムが当たり前になる未来 2.その顔認証システム、国産? ーほんとは4パターンある自動検温機 ー国産AIによる顔認証システムの珍しさ ーだからトリプルアイズの顔認証システムは優秀なのだ 3.AIZEを選ぶしかないこれだけの理由 ー画像認識プラットフォーム・AIZEにしかないもの ー①認識精度の高さ ー②多角的な分析 ー③拡張性 1.顔認証システムでなにができるか? 生体認証のひとつ、顔認証システム パソコンやネットサービスへのログインの際には、ユーザ認証としてパスワードなどの「知識情報」が、建物への入退室や乗り物への乗降にはセキュリティカードなどの「所持情報」が使用する技術が主流です。 あるいはクレジットカード、キャッシュカードのように、この両方を使用する多重認証もたいへん馴染みのあるものだと思います。 みなさんも、何十ものパスワードを覚えておくか、メモしておくか。財布にはたっぷりカードを忍ばせているのではないでしょうか。それがあと数年で、ぜんぶいらなくなるといったら便利だと思いませんか? そんな時代が近づいています。 どういうことか? この頃、にわかに「生体情報」が主流になりつつあるからです。そのなかでも本稿のテーマである顔認証システムが大注目なのです! ▷関連記事:【初心者向け】今話題の生体認証とは?種類やそれぞれの特徴、メリット、問題点、活用事例を紹介 顔認証システムが主流になるわけ 待て待て、生体認証といったって顔認証に限らないじゃないかと思っている人もいるでしょう。 ここからちょっと説明します。 現在、実用化されている生体認証はいろいろあります。 指紋認証 声認証 顔認証 ほかにも、眼の瞳孔を囲む虹彩を認証するもの、静脈を認証するものもあります。このうち早くからスマートフォンに取り入れられた指紋認証はやったことないという人はいないと思います。 ちょっと余談ですが、指紋認証で出退勤を管理するシステムが飲食店の従業員向けに使用されていたりしますが、こんな話を耳にしたことがあります。 指紋認証は、ふつう3本の指の指紋を事前に登録して認証を行います。この登録の際、人差し指だけ自分Aの指紋にして、中指を同僚B、薬指を同僚Cに頼んで登録します。こうしておくと自分Aがバイト時間に遅刻しそうになったとき、同僚Bに電話して彼の中指で出勤記録をつけるわけです。これで見事に、遅刻は隠蔽される、と。 こんな裏技(!)が生まれちゃうほど、指紋認証は実社会に定着しています。 顔認証システムが当たり前になる未来 すこし昔、ふつうに生活する人たちはみんなアドレス帳なるものを肌身離さず持っていました。なぜなら、これがないと連絡したい人にも連絡できないからです。 まれに知能が優秀な人が電話番号をぜんぶ覚えていたりしましたが、今にして思うとほんとうに不便でした。新しい番号はメモ書きしたりね。 これが25年ぐらい前、携帯電話が普及するとともに、アドレス帳も電場番号の記憶もすっかり不要になりました。現在の若者にとっては「え、電話番号を覚えてたの?」「メモしてたの?」といった感じでしょう。 さてはて、何が言いたいかと申しますと、つまり顔認証システムをはじめとする生体情報による認証技術が普及すると、大混乱するパスワードの記憶も財布いっぱいのカードも不要になります。 将来の若者は「え、パスワードってなんすか?」「カードとか使うんすか?」と言い出すことでしょうね。 その顔認証システム、国産? ほんとは4パターンある自動検温機 最近、店舗や商業施設の入り口でポールのうえにタブレットがついた機器を見かけることが増えました。これはコロナ感染防止対策として、非接触で検温する機器です。 これらの機器は、そのほとんどがアプリで顔認証を行なっています。なかには認証しないで、顔の認識だけして検温だけする格安の機器もあります。 注意してください。「認証」ではなく「認識」だけです。つまり顔そのものは認識していますが、個人の顔を認証してはいないのです。さらにいえば自動検温機では、顔認証していても、検温記録などのデータを、クラウドを介してUI管理するといったシステム化しているものもそれほどありません。 そのうえで、国産のAIを搭載した顔認証システムはさらに限られます。整理しましょう。タブレット型の非接触検温は大きく4つに分類できます。 同じような機器に見えてこんなに違いがあるのをご存知でしたか?そして、これはとても重要なことです。 日本の顔認証システムの未来を占うといっても過言ではありません。 国産AIによる顔認証システムの珍しさ 日本においてAIを提供するIT企業はいくつか存在しますが、そのほとんどがGoogle APIなどのオープンソースを改良するAIをサービス提供しています。つまり脳みそは人のものを借りているわけです。 AIを独自開発できる企業は日本では10社程度といわれています。それだけAIの開発は難しいものなのです。 言いたいことがそろそろバレましたね。 そうです。当社、トリプルアイズは独自にAIの学習モデルをつくり、主としてディープラーニング技術を活用して開発を行なっています。ディープラーニングについては次項を参照ください。 AIを独自開発できる10社のなかでも、実際にサービス提供で実績をあげている企業はさらに限定されます。 当社はいち早く顔決済AIシステムをヤマダ電機に提供、実サービスとしては国内初と言われています。現在はヤマダ電機全店舗に「ヤマダPAY」として導入されています。 国産AIによる顔認証システムを搭載したトリプルアイズの非接触自動検温システムは、認証精度の高さ、クラウドサービスである点、パソコンで一括管理できる点、データ蓄積に上限がない点で、同様に機器とまったく違うサービスを提供できているのです。 ▷関連記事:AI(人工知能)を説明できますか? ▷参考:トリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEによる顔認証決済サービス「ヤマダPay」がスタート だからトリプルアイズの顔認証システムは優秀なのだ トリプルアイズはグローバルIT企業と技術競争をしてきたベンチャー企業です。 AI技術の優劣が端的に、そして残酷に現れる囲碁AIの世界で、名だたる世界企業のプログラムと真剣勝負を繰り広げてきました。 その実力は、囲碁AI世界大会2位、国内大会1・2位独占といった実績をみれば明らかです。 囲碁AIの世界でこそ、現在のAI技術のブレークスルーが果たされました。ディープラーニングによって不可能とされていたプロ棋士にAIプログラムが勝利したことがきっかけでした。このディープラーニングが最も進化させたのが画像認識AIでした。 ディープラーニングによって、コンピュータは人と同等の眼を持つに至ったのです。 トリプルアイズが事業展開する画像認識プラットフォーム・AIZE(アイズ)は、囲碁AIの研究開発によって培われたディープラーニングから生まれた正統派のAIエンジンを実用化しています。 囲碁AIの研究開発に国内IT企業は当時も今もほとんどありません。グーグルもフェイスブックもテンセントも参戦して、技術力を磨いているというのに見向きもされません。 トリプルアイズのAI、そのエンジンを搭載した顔認証システムが他社のシステムに比較して優位だとすれば、この戦いこそうが理由なのです。 ちょうど、オートバイレースに参加することで技術を磨いた本田技研工業と、日本企業がかてるわけがないと冷笑した他の自動車会社と同じ違いがあるはずです! ▷参考:トリプルアイズの囲碁AIへの挑戦 ▷関連記事:【事例付き】画像認識とは?仕組みや歴史、AI(人工知能)による画像処理までを解説 AIZEを選ぶしかないこれだけの理由 画像認識プラットフォーム・AIZEにしかないもの トリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEは、他にはない3つの特徴を有しています。 ①認識精度の高さ 顔認証AIサービスを提供する多くの企業が謳っています。しかし、そのほとんどが正面静止画像での認証精度を示しています。これに対し、AIZEはさまざまな角度からの画像、動きのある対象、マスクや帽子などの変化があっても高い認証精度を誇っています。 これは上段で説明した囲碁AIの研究開発で培われた技術の賜物です。 ディープラーニングは特徴量といわれる多次元の特性で認証を行っています。当然、この特徴量の次元が精度に表れます。AIZEは、他社が100〜200次元で行う顔認証を、512次元という世界でも類を見ない次元の特徴量から認証を行なっています。 この特徴量を高速演算することで、被写体の状況に左右されにくい認証精度を誇っているのです。 ②多角的な分析 AIZEは顔を認証するだけの技術ではありません。 ディープラーニングの学習モデルを独自開発できる強みを生かし、顔画像からさまざまな推定を行うAIエンジンを搭載しています。 性別・年齢といった属性の分析や、たとえば店舗への来店数を解析するリピート分析のほか、表情から感情を推定したり、要注意人物をマークしたりもAIZEには可能です。 こうした多角的な分析はカメラさえあれば実現されます。それはAIZEがクラウドサービス・サービスだからです。1台のカメラをエッジPCに接続、ネットワークでAIZEと連携することで、一気にAI化され多角的な分析ができてしまうのです。 分析データは、管理用PCで一括管理が可能です。たとえばチェーン展開している企業などが、本部で多店舗の顧客情報をリアルタイムで一覧するだけでなく、過去データを総合して分析することも簡単です。AIZEは多くのAIサービスのようにデータ蓄積に上限を設けていないので、利用期間が長くなるほどデータの精度は上がっていきます。 ▷参考:5分でわかるAIZE ③拡張性 ここまで2つの特徴で述べてきたように、独自開発のAIエンジンとクラウドサービスの組み合わせであるAIZEが、豊かな拡張性をも有しているのは当然といえます。 独自開発AIですので、顧客企業からのさまざまなリクエストに柔軟に応えることができます。トリプルアイズはSIerとしての側面もありますので、既存システムにAIを搭載するといったカスタマイズもワンストップで実現できます。顧客ごとの課題に即したAIシステムの構築は、他社のAPI利用によるサービス提供では簡易に行えるものではなく、コストも嵩みます。AIZEにはそういった心配なくAI化カスタマイズができてしまうのです。 さらにAIZEの端末となるカメラは、防犯カメラであれ、PCやモバイルのウエブカメラであれ、ほとんどで使用可能です。すべてのカメラをAI化できるのです。最も簡易なIoTを実現しうる技術ともいえる所以です。実際に、コミュニケーションロボットに搭載したサービスも展開しております。 こうしたサービスは、どれも既存のデバイスにAIZEのAIエンジンを搭載しておりますので、驚くほど開発は短期間で行われました。AIZEの拡張性の強みはこの点にもあります。 トリプルアイズは、グローバル企業が莫大な予算と豊富な人員を割いて成し遂げたことを、数百分の一の規模で成し遂げてきました。 AIZEはどんどん進化しています。他社のAPIに頼らないので進化を待つことはありません。早期に実用化しているので、どんどん利便性も向上させることができます。 ▷参考:顔認証のAIZE・AIを使った課題解決型顔認証ソリューション 資料ダウンロード
    • 2020.10.21
    • AI
    • 画像認識技術の違いがわからない
    • [ez-toc] ー顔認識API各社の比較 顔認識AIでできること 顔認識システムとは何でしょうか? 顔認識システムとは「画像データや映像データ上にある人の顔から自動的に情報を読み取ることができるシステム」を指します。 つまり、カメラなどから得られる画像データ上の人の顔から情報を抽出し、年齢や性別やその時の感情など、その人を特徴づける情報を得ることができるシステムです。 人は画像上の顔を見たとき、その人が今まで出会った大勢の人の記憶をもとに、その人の性別、おおよその年齢や国籍など、その人を特徴づける情報をパターン認識で推測することができます。 この特徴抽出をコンピュータに大量の顔画像データを与え、学習させることで行わせることができます。コンピュータは学習が進むにしたがって、人の顔の特徴を次第に理解していき、目や口の数などおおざっぱな特徴から、認識した顔の特徴抽出、顔のグループ化、2つの顔が同一人物のものであるかの判断など、次第に高いレベルの認識能力を獲得していきます。 2012年にAIにおけるディープラーニング技術により、画像識別率が大きく上昇しました。2014年にFacebookが発表したDeepfaceはこの技術を顔認識に導入し、2枚の写真に映る人物が同一人物であるかどうかの判断で人間とほぼ互角の顔識別精度(97.25%)を実現ました。 このように人間と同等の識別能力を持つAIを用いれば、例えばカメラから得た顔画像と顔データベースを利用し個人を特定することができます。これは顔認証システム、つまり「顔パスシステム」を可能にし、指紋認証のように接触を行う必要のない、非接触なセキュリティシステムの実現ができます。これは例えば入出管理を要する部屋が多い病院で非接触のセキュリティ管理が可能となり、感染症対策に貢献できます。 また、カメラの顔画像から年齢・性別の情報を読み取れば、顔認識AIをマーケティングに活用することができます。例えば街頭のデジタル広告にカメラを設置すれば、どのような顧客層がどれくらいの時間どのような広告に興味を持っているかをAIに推測させることができます。 このように顔認識AIは高い識別能力を持ち、カメラから個人を特定したり、情報抽出を行えるため幅広く利用されています。   細かい技術の違い 顔認識では機械学習という技術を使い、大量のサンプルデータを用いてパターン認識を行います。 機械学習とは、学習データから特徴量を抽出し、データの正解の特徴量との差を比較しフィードバックすることで、自動的にパラメータを更新するアルゴリズムです。特徴量を定義してコンピュータに顔画像データを学習させれば、コンピュータは顔の特徴を認識してくれます。具体的にはあらかじめ大量の顔画像から学習を行わせておき、対象の画像から、輪郭、目、眉、口などの顔の部品の場所を探し、それらの配置パターンから年齢、性別、表情などを判断します。 しかしながら物体認識に対し顔認識は、顔の向き、表情、性別、人種等によって影響を受け、個人差も生じることから一般的には難しいと考えられます。仮に制限された環境下で高い認識率を示せても、汎用的な識別機を作ることは難しく、またデータの少ないマイノリティーを苦手とする傾向もあります。 しかし顔認証システムへの応用等を考える場合、顔認識の精度は十分な信頼感が得られなければなりません。顔認識を実現するために提案されたパターン認識手法は多くありましたが、AIブームが到来する以前は、実環境下での利用はまだ難しい状況でした。 2012年に登場したディープラーニングは画像認識技術を急速に発展させ、2014年には顔認識AIは人間と同等レベルの認識精度を示します。この技術的進歩により、顔認識はカメラからの画像データを用いての実環境下での利用が可能になりました。 ディープラーニングを用いた顔認識の従来のものとの大きな違いは、特徴量の定義も自動的に行うことができる点にあります。それにより人間の介入を遠ざけ、さらに多層構造を構築することでより抽象的にデータの特徴を抽出することができるのです。   顔認識APIの企業ごとでの違い 現在各企業が発表している顔認識APIにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは主要な顔認識APIサービスを紹介します。   IBM-Watson Visual Recognition API   画像引用元: IBM:Watson Visual Recognition API IBMが提供するWatson Visual Recognition APIは、顔検出、年齢推定、性別推定が可能です。GUI上でオリジナル画像認識AIを作ることができます。 参考サイト: IBM:Watson   Microsoft―Face API   画像引用元: Microsoft―Face API Microsoftが提供するFaceAPIは顔検出、感情推定、顔の向き、年齢推定、性別推定が可能です。個人の顔を識別し、似ている者同士をグループ化できます。 参考サイト: Microsoft:Face API   Google―Cloud Vision API   画像引用元: Google:Cloud Vision API Googleが提供するCloud Vision APIは顔検出、感情推定、顔の向きが抽出可能であり、対象の画像と似た画像をウェブ上から探すことができます。 参考サイト: Google:Cloud Vision API   トリプルアイズ―AIZE API     トリプルアイズが提供するAIZE APIは、画像内の顔と属性、感情を認識する 顔検出 や画像の顔を特定の人物と照合する 顔認証 などの機能があります。 AIZEの各サービス (AIZE Research、AIZE Biz、AIZE Securityなど) の機能をAPI経由で利用できるところが最大の特徴です。 AIZE APIサイト:API     資料ダウンロード
    • 2020.08.28
    • AI
    • AI(人工知能)を説明できますか?歴史や活用事例、機械学習についてもご紹介
    • ■目次■ AI(人工知能)とは? ー機械学習とは? ーディープラーニングとは? AI(人工知能)の種類 AI(人工知能)の歴史 AI(人工知能)でできること AI(人工知能)の主な活用方法 AI(人工知能)の最新の活用事例 ーAIによる自然な対話応答を実現する電話応対AIサービス ー広告効果の高い人物モデルをAIで生成 ーAI技術が可能にする無人店舗 ー自動運転の実用化 ー農業×AI AI(人工知能)の発展によって起きる未来 AI(人工知能)とは? AI(Artificial Intelligence)は、日本語では人工知能と表されています。 AI(人工知能)の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。さまざまな専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。 Wikipediaによると人工知能(AI)は、「計算という概念とコンピュータという道具を用いて知能を研究する計算機科学の一分野」と説明されています。これだと少し言葉足らずな感じがしますね。専門家はどう定義しているのでしょうか。 「究極には人間と区別が付かない人工的な知能のこと」(公立はこだて未来大学・松原仁教授)、「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術。人間のように知的であるとは、“気づくことができる”コンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し、現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である」(東京大学・松尾豊教授)、「人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである」(京都大学・長尾真教授)。 どうでしょうか。少しイメージが湧いてきたかと思います。 現在我々が人工知能と指しているものの大半は機械学習(machine learning)と呼ばれるものです。 機械学習とは? 機械学習の定義もここで説明したいと思います。 機械学習も人工知能と同様に様々な定義がなされていますが、Wikipediaでは「明示的な指示を用いることなく、その代わりにパターンと推論に依存して、特定の課題を効率的に実行するためにコンピュータシステムが使用するアルゴリズムおよび統計モデルの科学研究」と紹介されています。 よく引用されている定義としてトム・M・ミッチェルの「コンピュータプログラムが、ある種のタスクTと評価尺度Pにおいて、経験Eから学習するとは、タスクTにおけるその性能をPによって評価した際に、経験Eによってそれが改善されている場合である」という定義を挙げています。 これはかなり数学的な定義なのでもう少しかみくだくと、「コンピュータに大量のデータからパターンやルールを発見させ、それをさまざまな物事に利用することで判別や予測をする技術」と説明することができます。 つまり機械学習とは、コンピュータが自ら学習していくシステムのことです。この方法では、コンピュータがどのように演算を行っていくかと、どのようなルールに従ってパラメータを修正するかだけを人間が設定し、あとは機械が大量のデータをもとに自動的にパラメータを修正していき、最適化してくれます。 学習が進むにつれコンピュータの認識率は向上していき、最終的には画像データから特徴を抽出し、正確な判断ができるようになります。ただし、コンピュータも与えたモデルが適さなかったり、データの量、質が悪いとなかなか画像の認識精度を上げることができません。そのため目的に合わせて適切なモデルとデータセットを選択する必要があります。 ディープラーニングとは? AIに関する記事を読むと、機械学習とともに、「ディープラーニング」という言葉も頻繁に出てきます。 「ディープラーニング」とは、人間の脳のネットワークをヒントに、データの分類基準を人間が設定しなくても、機械自らが特徴を抽出する手法です。 例えば、画像認識では畳み込みニューラルネットワークと呼ばれるネットワークモデルがよく使用されます。このモデルは、人間の脳内の神経回路網を表現したニューラルネットワークと呼ばれるネットワークモデルの発展版です。このモデルの特徴は、画像のピクセルデータを人間が抽象ベクトルに変換せず、画像データのままコンピュータに特徴抽出を行なわせることです。 畳み込みニューラルネットではまず、画像データの一部分にフィルタをかけ演算し、その領域をスライドさせて繰り返していく「畳み込み」を行い、特徴マップを生成します。この処理によって、画像が持つ局所的な特徴を抽出することができます。このようにしてコンピュータは画像の特徴を繰り返し抽出し対象物を推測し、また正解データで答え合わせをして学習しながら、画像認識の精度を高めていくのです。この多層化されたニューラルネットワークの学習の仕組みをディープラーニングと呼んでいます。 ここまでの関係を図で表すと以下のようになります。 AI(人工知能)の種類 人工知能の種類を切り分ける切り口も様々な視点があります。今回は強いAIと弱いAI、汎用人工知能と特化型人工知能の2つの視点で分けたいと思います。 強いAIと弱いAIは哲学者であるジョン・サールが1980年に作った用語です。この2種類のAIの違いはAIの振る舞いがどのように生まれているかという点です。 強いAIの場合はAI自身が私たちのような知能や意識を獲得したことで、人間と同等の振る舞いをするものを指します。対して弱いAIは知能や意識は関係なく、機械的に人間と同じように振る舞うものを指します。 つまりこの切り分け方ではAIが真に知能を持っているか否かという視点から分けていると言えると思います。 汎用人工知能と特化型人工知能の違いはAIが何でもできるか、何かはできるかという点です。まず先に特化型人工知能の説明をすると、こちらは名前の通り何かしらかに特化したAIのことを指します。 例えば囲碁のAIであれば囲碁を打つことはできますが、文字を認識することや英語から日本語へ翻訳することはできません。 つまりそのAI固有の問題は解くことはできますが、それ以外の問題には対処できないというのが特化型人工知能です。対して汎用人工知能は人間のようにあらゆる問題を解くことができるAIのことを指します。 そのため、囲碁を打つこと・文字を認識すること・英語から日本語へ翻訳することもできます。現在実用化されているAIは特化型人工知能で汎用人工知能と呼べるAIは生まれていないと思います。 しかし汎用人工知能の研究も活発に行われているので汎用人工知能と呼べるAIもこの先、生まれるかもしれません。 AI(人工知能)の歴史 人工知能は2度のブームと冬の時代を経て、現在3度目のブームの最中と言われています。 第一次人工知能ブーム 最初のブームは1950年代から1970年代にかけてでした。ちょうどこの時代に人工知能という言葉も生まれました。1956年のダートマス会議で主催者であるジョン・マッカーシーによって史上初めて使われたのです。 またこの会議の発起人には人工知能の父とも呼ばれているマービン・ミンスキーや情報理論の考案者であるクロード・シャノンなどの著名な人物が名を連ねていました。 この時代は推論と探索の時代と呼ばれていて、コンピュータを用いて推論や探索ができるようになりました。これにより迷路やパズルなど特定の問題に対しては解を求めることができるようになりました。 当時も人工知能により様々な問題が解けるようになると期待されていましたが、現実の問題は研究者が思っていた以上に複雑なものでした。 その結果人工知能における重要な問題の一つであるフレーム問題や組み合わせ爆発などの問題に直面することとなりました。こうして人工知能が現実の問題には適用できないことが判明し、第一次人工知能ブームは冬の時代へと移り変わりました。 第二次人工知能ブーム 2度目のブームは1980年代から1990年代にかけて訪れました。この時代はエキスパートシステムという知識表現を活用した人工知能が流行りました。 エキスパートシステムは専門分野の知識を組み込むことで、まるで専門家であるかのように振る舞うことができるものです。例えば症状などをエキスパートシステムに伝えることで診断を行うことができました。 またこのブームの最中、1981年に日本では第五世代コンピュータプロジェクトが始まりました。570億円をかけた一大プロジェクトでした。これに海外の国々も反応し、人工知能研究への投資が活発になりました。 しかし、このブームも終わりを迎えます。 コンピュータ自身が知識を集め蓄積できなかった点やコンピュータが理解できる形に記述する必要があったことから、扱いが難しかったために再び人工知能は冬の時代を迎えることとなりました。 第三次人工知能ブーム 現在進行形である3度目のブームは2006年にジェフリー・ヒントンが発明したディープラーニングを端に発して始まりました。この技術は機械学習の手法の一つであるニューラルネットワークをよりディープにしたものでした。 この技術は人工知能において大きなブレイクスルーとなりました。ニューラルネットワークをはじめとした機械学習は特徴量をデータとして与えることで学習していました。この特徴量は人間の手で設計する必要がありました。 しかしディープラーニングでは特徴量を人工知能自身が抽出することができました。 さらにビッグデータやGPU利用による計算の高速化などにより目覚ましい発展を遂げています。例えば2012年にはILSVRCという大規模画像認識の競技会でディープラーニングを用いた手法が他の手法と比べて圧倒的な精度を叩き出しました。 また2015年にはチェスや将棋で人工知能が人間を凌駕していくなか、アマチュアの有段者レベルに留まっていた囲碁においてDeepMindが作成したAlphaGoが人間のプロ棋士に初勝利を収めました。 出典:www.asahi.com/articles/photo/AS20160310003814.html 囲碁の数千年の歴史をまったく変えてしまう事件ともいえる一手が打たれたのは、2016年3月10日、韓国ソウルのフォーシーズンズホテルでの一室のことでした。 その一手に碁盤を打つ音はありませんでした。人が打った手ではなかったからです。天才デミス・ハサビス率いるGoogle DeepMindの囲碁AI「アルファ碁」が選んだのは、人がかつて一度も打ったことのない手でした。 現在、三度目のブームを迎えた人工知能は画像処理や音声処理、自然言語処理などのあらゆる分野に適用されています。しかしまだ強いAIや汎用人工知能までの道のりは遠いと思います。もしかしたら今までのブームがそれぞれ別のアプローチをもった手法だったように機械学習やディープラーニングとは全く違ったところから次のブレイクスルーが生まれるのかもしれません。 AI(人工知能)でできること 現在の人工知能の主流であるディープラーニングは、教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3つの学習手法を使うことで賢くなります。そして学習手法によりできることはそれぞれ違います。 まずは教師あり学習・教師なし学習・強化学習について説明し、それぞれの学習手法で人工知能は何ができるのかを説明します。 教師あり学習 教師あり学習ではデータとして入力データと教師ラベルが必要になります。入力データは人工知能への入力となるデータのことを指します。 変わって教師ラベルは入力データに対する答えを表すものです。 この学習手法では人工知能の出力が教師ラベルに近づくように学習します。学習を重ねることで学習初期では出鱈目だった出力が徐々に改善されていきます。主に分類や回帰といった問題を解くために使用されます。 分類 分類は入力データがどのクラスに分類されるかを予測するタスクです。例えば動物の画像を入力として与えると、どの動物であるのかを分類することができます。 ただし何に分類できるかは学習時のデータによります。犬と猫の画像データで学習させた場合、その人工知能は犬か猫の分類はできるようになりますが、ウサギなどの犬でも猫でもない画像が与えられた場合も犬か猫の分類しかできません。 そのため別の分類を行いたい場合はもう一度学習させる必要があります。 回帰 回帰は入力データを与えると何かしらかの数値を予測します。人工知能が何の数値を予測しようとするかは分類と同様に何を学習したかに依存します。 例えば体重から身長を予測したい場合は、体重を入力データとし身長を教師ラベルとして学習させることで可能になります。 教師なし学習 教師なし学習は教師ラベルを用いずに学習することができます。大量のデータから規則性や法則を見つけ出すことができます。 従って、時には人間が見つけられなかった規則を発見することもあるそうです。この学習手法はクラスタリングや次元削除のために使用されます。 クラスタリング クラスタリングは大量のデータを任意の数のクラスタに分割することです。データ同士の類似度や距離を使用し、似ているデータをひとまとめにしてクラスタにし分割します。 例えば数学と英語と国語の点数からなるデータがあった場合、三教科とも得意なクラスタ、数学と英語は得意なクラスタ、英語が得意なクラスタなどに分割することができます。 この時いくつのクラスタに分割するかは人間が決めることになりますが、どんなクラスタに分割するかは決めることはできません。そのためそこにどんな規則性が見られるかは人間が判断する必要があります。 次元削除 人工知能が扱うデータは得てして高次元なデータを使うことが多いです。次元削除を使うことでそういったデータの次元を削除し、低次元なデータにすることができます。 低次元にしたことでデータを圧縮することができ、高次元のため視覚化できなかったデータを人間が見える形に可視化できるようになります。 また教師あり学習の入力データに前処理として使用されることもあります。これにより計算量の削減などが可能になります。 強化学習 強化学習は試行錯誤を繰り返すことで最適な方策を見つけ出す学習方法です。基本的な構成要素として環境とエージェントが存在します。 囲碁で例えると環境は囲碁の盤面を意味し、エージェントはプレイヤーとなります。エージェントは環境に対して石を打つなどの行動をとることができます。 その結果、環境(盤面)の状態は変化します。エージェントは環境から状態と報酬を観測して次の行動を決めます。 この行動をどのように決めるか(方策)を、試行錯誤を繰り返し、状態・報酬など情報を用いて改善していくのが強化学習です。 AI(人工知能)の主な活用方法 ここではAI(人工知能)を活用することでどんな問題を解決できるかの具体例を挙げていきます。 画像認識 人工知能を活用することで画像内になにが写っているかを認識することができます。例えば文字を認識させることで手書き文字からテキストデータへの書き起こしを自動化させることができます。 ▷関連記事:画像認識とは?仕組みやAI(人工知能)による画像処理、最新の活用事例を解説 物体検出 画像から分類を行うとともに物体の位置も検出することができます。位置の検出を行うことで適切な位置に配置されているのかを画像から管理できるようになります。 また、別の画像処理を行うために余分な部分を削除する前処理として活用されることもあります。主な手法としてはFaster R-CNNやYOLO、SSDなどがあります。 自動着色 線画に対して自動的に色を付けることができます。この時、完全に自動的に全ての着色を任せることができますが、色の指定など使用者がコントロールすることは可能なようです。以下のリンクが自動着色のdemo動画になります。 Demo: YouTube:pixivSketch 自動着色機能 画像キャプション 画像に対する説明文を生成することができます。またこの類似した活用法としてキャプションから画像を生成したり、画像に対して質問を与えると答えを返したりすることもできます。 チャットボット テキストまたは音声を入力として与えることで応答してくれる、つまり会話することができます。この技術は別名人工無脳とも呼ばれています。有名なサービスとしてはMicrosoftの「りんな」があります 参考:Microsoft:りんな 翻訳 人工知能を使うことで翻訳することもできます。Google翻訳も人工知能を活用することで精度が向上しました。手法としてはTransformerと呼ばれるものを採用しています。この手法はGoogleが出したAttention is All you Needという論文で発表されたものです。 株価予測 過去の株価の情報で予測モデルを作ることで未来の株価を予測することができます。このとき具体的な株価を予測することもあるかもしれませんが、株価が前日より上がるのかまたは下がるのかを予測するのが一般的だと思います。また株価のような時間によって値が変化するようなデータのことを時系列データと言います。 推薦システム 推薦システムは購買者に対してお勧めの製品などを推薦することができます。このときどのように何をお勧めするのかという部分で人工知能は活用できます。 有名な手法としては協調フィルタリングがあります。これは閲覧履歴や購買履歴を利用することで類似する別の購買者と照らし合わせて推薦を行います。 ゲームAI 囲碁や将棋などのボードゲームやポーカーのようなカードゲーム、ビデオゲームなどのあらゆるゲームで人工知能が使われています。 このように人工知能はあらゆる場面で活用されています。また何に活用したいかで必要なデータや人工知能の手法は変わってきます。 よってどういった問題がどんなデータでどんな手法で解決されているのかを理解することはとても大切なことだと思います。 AI(人工知能)の最新の活用事例 最後に、AI(人工知能)を活用した最新の事例の一部をご紹介します。AI(人工知能)が私たちの生活にどのように活用されているのかがイメージしやすいと思います。 AIによる自然な対話応答を実現する電話応対AIサービス 引用:https://clova.line.me/line-aicall/ LINE AiCallは、LINE CLOVAのAI技術である音声認識と音声合成および会話制御の仕組みを組み合わせ、AIによる自然な対話応答を実現する電話応対AIサービスを提供しています。 これにより、飲食店や宿泊業などでは、来店予約の電話応対を含む予約管理の自動化を実現。限られた人員で店舗運営をしなければいけない環境でも、来店されたお客様への対応時間を拡大することができます。 また、LINEバイトでは上記の技術を用いて、求人応募・問い合わせチャネルとして電話窓口を追加。新たにコンタクトセンターを構築・運営することなく、自動応対電話窓口の設立を実現しました。 LINE AiCallはコロナ禍での行政窓口対応にも力を発揮し、厚生労働省の帰国者に対する健康フォローアップ架電や神奈川県での自宅療養者に対する安否確認・健康状態確認架電にも利用されています。 参考:https://clova.line.me/line-aicall/ 広告効果の高い人物モデルをAIで生成 引用:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26366 株式会社サイバーエージェントは、2021年6月「極予測AI人間(キワミヨソクエーアイニンゲン)」において、老若男女さまざまなAI人物モデルが使い放題となる「極予測AI人間使い放題プラン」の提供を開始しました。 GAN(敵対的生成ネットワーク)技術を用い、架空のAIモデルの大量生成と「極予測AI」の効果予測を何度も繰り返すことで、企業やブランドごとのターゲティングに適した「オリジナルのAIモデル」を生成し、AIで「広告効果の出せるAIモデル」へと育成します。コロナ禍で、人物モデルの撮影が難しいことから、ニーズが高まっているということです。 参考:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26366 AI技術が可能にする無人店舗 引用:https://jpn.nec.com/press/202003/20200313_01.html 米国アマゾンが展開する「Amazon Go」では、店内に入った顧客が陳列棚から商品を手に取ると、AIカメラが商品と顧客を自動で認識して両者をひも付けます。顧客が出口のゲートを通過すると、自動的に決済が行われる仕組みです。 日本国内でも、省力化や無人化を目指して様々な取り組みが行われています。NECは、セブン-イレブン・ジャパンが店舗の課題解決を目的に、2019年12月にリニューアルオープンした実験店舗「セブン-イレブン麹町駅前店」で、顔認証決済や商品案内用サイネージの実証実験を行っています。 顔認証決済(セブン‐イレブン社員限定)利用者は、専用端末を用いて事前に顔画像やクレジットカード情報、確認用コードを登録することで、セルフレジ支払い時に顔と確認用コードの2要素認証により、簡単かつセキュアに決済が可能となります。 また、2020年5月中旬より、店舗内にある商品案内用サイネージの視聴時間測定の実証実験を行います。 離れた場所から人の視線の向きを高精度に検知できる「遠隔視線推定技術」を活用することで、映像から推定した年齢・性別ごとにサイネージの視聴時間を可視化し、商品案内の注目度などの効果測定を支援します。 参考:https://jpn.nec.com/press/202003/20200313_01.html 自動運転の実用化 引用:https://response.jp/article/2020/10/12/339309.html Googleの自動運転車開発部門のウェイモは2020年10月、米国アリゾナ州において、無人の自動運転車を使ったタクシー配車サービスを一般向けに開始しました。 この配車サービスは、「ウェイモ・ワン」(Waymo One)と呼ばれるもので、サービスを利用するには、専用のアプリをスマートフォンなどにダウンロードする必要があります。 ユーザーは、このアプリを通じて、無人の自動運転タクシーを呼び出します。無人の自動運転タクシーは24時間、365日呼び出すことができ、目的地までの距離や時間に基づいて、あらかじめ料金がアプリに表示されます。 参考:https://response.jp/article/2020/10/12/339309.html 農業×AI 引用:https://response.jp/article/img/2018/11/14/316162/1359522.html 農業の分野でもAIの活用はめざましいものがあります。高齢化や後継者不足問題を解決し、知識やスキルをAIが学習して効率化を図る取り組みが始まっています。 ドローンとAIの画像解析技術を組み合わせ作物の生育状況を確認したり、これまで人の手によって行われていた農作業をロボットに代替させる試みが進んでいます。 ニュージーランドの農業自動化ソリューション開発のスタートアップ企業であるロボティクス・プラス社は、ロボット工学、オートメーション化および解析技術をベースとした農業分野の自動化ソリューションを開発する企業として2008年に設立。 リンゴの自動パッキング機、キウイの自動収穫機、移動型の自動授粉機、農業用UGV(無人地上車両)などの開発実績があります。 参考:https://response.jp/article/2018/11/14/316162.html AI(人工知能)の発展によって起きる未来 人工知能が発展することで、今よりも更に様々な商品やサービスで活用されるようになると思います。また現在私たちが生業としている作業も人工知能が代替することになるかもしれません。 その結果世の中は今よりも便利になり、定型的なタスクから今以上に開放されることになると思います。また現在抱えている様々な問題が人工知能によって解決されることになると予想されます。 資料ダウンロード