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エンジニアの未来を占う〜経産省報告書と「Pro Tech One 2024」より

  • 2024.07.04

こんにちは。
トリプルアイズ広報の白石です。

トリプルマガジンでは、当社の製品やサービスについてはもちろん、IT・AIに関する最新情報を発信しています。たまに社内の出来事もお知らせします。⾝近に感じていただけると嬉しいです。

今回のコラムは、「エンジニアの未来を占う〜経産省報告書と「Pro Tech One 2024」より」という内容でお届けします。

ニュースでは
​​​​■ 8000日分の感謝を込めて――新入社員の実家に花を届ける
■ アルコールチェックがLINE WORKS上でもっと簡単に
7月25日(木)「アルろくfor LINE WORKS」リリース記念セミナー開催

をご紹介します。

「今日から使えるChatGPTビジネス活用Tips」ではChatGPTにまつわる小ネタをご紹介します。

最後にIT批評では特集記事「基礎情報学の視座からみえる人間とAIの未来像――東京大学名誉教授 西垣通氏に聞く」、編集長レビュー「MUCA展、ワーニャ、悪は存在しない〜不自由なのか、孤独なのか?」をご紹介します。

ぜひ最後までお付き合いください。

 

1.エンジニアの未来を占う〜経産省報告書と「Pro Tech One 2024」より

生成AI時代にエンジニアに求められる役割とはなんでしょうか? おりしも、6月28日に経済産業省より報告書「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」が発表されました。そこから見えてくる日本企業の課題とエンジニアの役割について解説していきたいと思います。

https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240628006/20240628006.html

 

生成AIの利活用の現在地

報告書によれば、「GitHub」を使用する国内開発者数が300万人を超え、対2023年成長率は31%増、AIプロジェクトへの貢献度は世界第3位であり、日本の開発者が生成AIプロジェクトに積極的に貢献をしている様子が伺えます。 その一方で、知的労働者の生成AIの業務利用割合は、世界平均75%に対し、日本は32%となっており、日本における実際の生成AIの業務利用が低調であることが示されています。また、「競争力を保つにはAIが必要」と考えている経営者の割合は、世界平均79%に対し、日本は60%となっており、AI人材ニーズに対する日本の経営者の意識の低さが明らかになっています。

 

生成AI導入の3つのフェーズ

報告書は、生成AI導入段階を3つのフェーズに整理しています。

Phase1.(壁打ち、独りアイデアソン)初歩的な使い方を可能とする生成AI導入
Phase2.(社内DXや工程改善を推進)生成AIを日常業務に組み込んで利用する
Phase3.(顧客体験の改革)新たなサービス創出につながるレベルでの生成AI利活用

現状は、Phase1での個人の利用度は高いものの、組織的な活用となるPhase2、Phase3では、多くの企業が壁に当たっているとし、プロフェッショナル人材の育成と活用が必須であるとしています。

 

プロフェッショナル人材=エンジニアに求められるスキルとは

では、プロフェッショナル人材=エンジニアにはどのような能力が求められるのでしょうか?

報告書では、DX推進人材には「問いを立てる力」や「仮説を立て・検証する力」に加えて「評価する・選択する力」が基本的に求められるとし、さらに5つの人材類型(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ)ごとに獲得すべきスキルを定義しています。

・ビジネスアーキテクト:選択肢から適切なものを判断する選択・評価する力
・デザイナー:独自視点の問題解決能力、顧客体験を追求する姿勢
・データサイエンティスト:利活用スキル(使う、作る、企画)、背景理解・対応スキル(技術的理解、技術・倫理・推進の各課題対応)
・ソフトウェアエンジニア:AIスキル(AIツールを使いこなす)、上流スキル(設計・技術面でビジネス側を牽引)、対人スキル
・サイバーセキュリティ:AI活用の利益とリスク評価、社内管理スキル、コミュニケーションスキル

これまでエンジニアというと、狭義の意味でのソフトウェアエンジニアに焦点が当てられてきましたが、今後は、ビジネスの現場で意思決定に役立つデータを確保するためのデータの「目利き」人材として、データマネジメントを推進する人材の必要性を強く訴えているのが印象的です。マルチモーダルAIを導入することによりテキスト、画像、音声等の非構造化データの利活用が可能となるため、前提となるデータの中身を管理するデータマネジメントの取組は、これまで以上に重要になるとしています。

 

現役トップAIエンジニアが語る気づきと学び〜「Pro Tech One 2024」より

(座談会で発言する片渕博哉)

実際に現場で日々業務に携わるエンジニアはどのようなことを考えているのでしょうか。さる6月22日(土)、ITエンジニアがおさえておくべき業界動向を「学び、語り合う」イベント「Pro Tech One 2024」(主催:株式会社PE-BANK)が開催されました。このイベントは、ITエンジニア・ITフリーランスがIT業界で長く活躍するための成長を支えるイベントとして定着しています。
https://splus.pe-bank.jp/lp/ProTechOne/

プログラムでは、栗原聡氏(慶應義塾大学理工学部教授)が「AIという道具を使いこなすための能力」について、成田悠輔氏(経済学者・データ科学者)が「機械学習と因果推論の融合」について、それぞれ熱のこもった講演を行い、質疑応答ではリアル・オンラインの参加者から多くの質問がありました。

「ITエンジニアのミライに向けAIについて語る」と題された座談会には、栗原聡氏やフリーランスのエンジニアと共に、当社AIエンジニアで技術本部執行役員である片渕博哉が企業内エンジニアの立場で参加し、現状のAI技術の活用シーンやAIエンジニアに求められる顧客視点の大切さ、生成AI時代のスキルの身につけ方などについてお話ししました。「領域を限定した生成AIのスモールな活用が今後のトレンドになるのではないか」という話が印象的でした。

*栗原聡氏はトリプルアイズのオウンドメディア「IT批評」を書籍化した『生成AI時代の教養』にインタビュイーとして登場されています。

AIのスモールスタートなら「AIラボ」にご相談ください
https://www.3-ize.jp/ailab/

 

2.トリプルニュース

■8000日分の感謝を込めて――新入社員の実家に花を届ける
https://www.3-ize.jp/information/4630/

■アルコールチェックがLINE WORKS上でもっと簡単に
7月25日(木)「アルろくfor LINE WORKS」リリース記念セミナー開催
https://www.3-ize.jp/information/4614/

 

3.今日から使えるChatGPTビジネス活用Tips

このコーナーでは、業務ですぐに利用できるChatGPTの簡単なコンテンツをお届けしていきます。業務効率化や会話の小ネタとしてお役立ていただけると幸いです。

 

OpenAIと言えばChatGPTを思い浮かべる方が大半だと思いますが、動画生成AIモデル「Sora」も発表していることをご存知ですか?

Soraは、テキストのプロンプト(指示文)を入力するだけで、高品質の動画を生成できるツールで、2024年2月15日に発表されました。現時点では一般公開されていないものの、正式にリリースされれば動画コンテンツの制作や編集に変革をもたらすと期待されています。

今回、誰もが知る米国の玩具大手企業「トイザらス」が「Sora」を使用して、ブランドの歴史を描いた1分間の動画を制作しました!

https://youtu.be/F_WfIzYGlg4?si=QmjEIjHEaRJQoaVE
ぜひご覧ください。驚くべきクオリティです。

「Sora」はテキストでプロンプトを入力するだけで、最長1分間の高品質な動画を生成することができます。テキストを入力するだけで情景を理解して動画を生成してくれるなんてすごいですよね。

OpenAIが出しているサンプル動画はこちらからご覧いただけます。https://openai.com/index/sora/

ちなみに、Soraという名前は、日本語の「空」にちなんで付けられたという説明があるそうです!

 

ゼロから始める「ChatGPT業務効率化実践講座」
https://www.3-ize.jp/chatgptkouza/

 

4. IT批評 

特集記事「基礎情報学の視座からみえる人間とAIの未来像

――東京大学名誉教授 西垣通氏に聞く」

生成AIの登場により、人工知能はひろく人口に膾炙するようになり、並行してシンギュラリティ仮説やポスト・ヒューマニズムといった議論が聞かれるようになっています。そこに冷静な視線を投げかけつつ、生命や文化とともに情報を位置づけるのが、西垣通氏の構築した基礎情報学です。現在のAIの抱える課題、人間と機械とを分かつものなどについて、示唆に富んだお話を伺うことができました。

(1)「基礎情報学」でテクノロジーのなにが見えてくるか?
(2)生命の自律性を示すネオ・サイバネティクスの世界観
(3)基礎情報学の視座からみえる人間とAIの未来像

https://it-hihyou.com/

 

編集長レビュー「MUCA展、ワーニャ、悪は存在しない〜不自由なのか、孤独なのか?」

VUCAといわれるような、得体の知れない時代のなかで、答えを求めて、答えだけを求めてわたしたちはただひたすらに苦しい。テクノロジーは答えへの道筋を示すものなのか、あるいはわたしたちをさらに疎外し孤独にするものなのか。現代アート、演劇、映画から孤独について考えます。

https://it-hihyou.com/

 

5. 編集後記

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

このトリプルマガジンも今回で91号目となり、いよいよ100号が見えてきました。日頃のご愛読、心より感謝申し上げます。

さて、7月も始まり暑さが本格化してまいりましたね。暑くて外出するのが少し大変な時期ではありますが、皆さま素敵な夏をお過ごしください。

それでは、次号もお楽しみに!