• CONTENTS.01
  • トップインタビュー
  • 上期の業績所感と来期以降の成長戦略について

コロナ禍の収束のなかに現れた市場の変化

  • 2022年後半からはじまった新型コロナウイルス感染予防対策の緩和と、政府がコロナウイルスについて2023年5月8日をもって季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を発表したことも伴い、検温機能を搭載した当社のAI顔認証システムである「AIZE Biz+(アイズビズ・プラス)」ならびに「AIZE Research+(アイズリサーチ・プラス)」に対する需要は減少傾向となっており、機器代金のスポット売上が予測を下回っております。顔認証AIが世の中に欠かせないテクノロジーとして社会に広く実装されるよう、大手企業を含むパートナーとも協働して取り組んでおりますが、人々の生活や行動を変えるシステム実装には当初の想定以上に丁寧な検討を行い、時間をかけることが必要と考えております。
    ポストコロナにおける市場変化については十分に予測しており、アルコール検知器と連動する「AIZE Breath(アイズブレス)」をサービスローンチし販売促進に努めてまいりました。

  • 株式会社トリプルアイズ 代表取締役

    山田 雄一郎

これは、本来であれば2022年に施行を予定されていた、いわゆる白ナンバー事業者を対象とする目視での酒気帯び確認、アルコール検知器による確認を義務づけた改正道路交通法施行による需要の高まりに対応するもので、「AIZE Biz+」ならびに「AIZE Research+」同様に「AIZE Breath」にも導入時の機器購入の売上が見込める点もあり、非接触自動検温装置の導入時売上の減少を補う戦略的な製品です。しかしながら、現時点においても改正道路交通法の施行日は延期されたままであり、需要も落ち着いている状況にあり、プロダクトの売上が伸び悩みました。
お客様のニーズも、単なる新型コロナウイルス感染症対策のための非接触を目的としたものではなく、利便性や効率性の向上等を目的としたケースが多く、お客様の設備投資予算や、当社でのカスタマイズを行う時間の確保等を踏まえると、当社グループの業績へ織り込むタイミングはこの半年~1年等の短期的なスパンではなく、2年程度かけた中長期的な時間軸であると判断するに至りました。

業績予想の修正、減損損失について

上期の動向を真摯に受け止めて、売上高については約2億8000万円減として業績予想を修正いたしました。売上高の見直しだけでなく、AIZEの売上高の減少に伴い固定費が占める割合が高まるため売上総利益の減少を読み込んでおります。併せて、これまで資産計上していたソフトウェアの開発に関する費用を研究開発費として販売費、一般管理費として計上しました。エンジニア人材不足時代において、ChatGPTをはじめとしたAI分野の技術追求の重要性がさらに高まるなか、将来を見据えた人材への投資やソフトウェア開発に関する費用を計上しています。これにより費用が増加するため、営業利益では営業損失2億1100万円、経常利益では経常損失2億900万円と業績予想を修正いたしました。
AIソリューション事業においては、将来の一定期間にわたって償却予定であったものを、減損損失/ソフトウェア評価損として費用化し、繰延税金資産の取り崩しを行うことから、親会社株主に帰属する当期純利益の予想については当期純損失5億8300万円に修正いたしました。
売上高については、前期(2021年8月期)を下回り、創業以来の連続増収を見送る苦渋の決断をしております。これは先にも述べたように、ポストコロナによる大きな市場変化とAI激動時代において、当社自身がサステナブルに成長し、結果として利益向上を実現するための足場を固めるべく必要な措置であると信じております。

AIZE拠点ID数の伸びと
継続的な契約に関する取引高の増加

先に述べたようにAIZEの売上は減少を余儀なくされていますが、AIZEのストック売上の起点となる拠点ID数(機器導入台数およびユーザー数)は増加しており、顔認証市場の面を拡げる戦略を重視した結果になっています。
拠点ID数の増加には大きく2つの理由があります。1つは複数の既存の勤怠システムとの連携が進んだことで、既存の勤怠システムのユーザーに対しAIZEの利用が広まったことがあげられます。ソニービズネットワークス株式会社が提供する「AKASHI」、株式会社アスピット「ASPIT」と相次いで連携、今期に入り株式会社チームスピリットが提供する「TeamSpirit」とのAPIによるサービス連携を開始していることが、ユーザー増を後押ししています。
拠点ID数の増加の理由となるもう1点は、AIZEの販売パートナー施策によるものです。前期より継続してきた販売パートナー網の拡充、整備が進み、現在では全国各地に販売パートナー様を確保しております。販売パートナー様への情報提供や連携もセミナー開催、パートナー会の定例化を通じて強化されております。
また、今回より、SI部門を含むAIソリューション事業の「継続的な契約に関する取引高(取引が1年超継続している得意先に対する四半期毎の売上高)」の情報を開示しました。23年8月期上半期累計3億円(前年同期比+5.1%)と増加しており、安定的な業績推移となる事業構造になるよう注視していきます。

大型顧客の深耕と当社認知の向上

これまで新規の大型顧客獲得に効果のあった展示会出展も下期に入りようやく再開いたしました。2023年4月5日(水)から4月7日(金)の3日間にわたり、東京ビッグサイトにて開催された展示会「第32回Japan IT Week 次世代EC&店舗EXPO」に出展し、大型顧客獲得につながる商談も増加しております。2022年5月の上場以来、大手企業からの引き合いが著しく増加しており、そのニーズに応え、AI技術を社会実装するべく、丁寧に時間をかけているところです。
展示会への出展によるメディアへの訴求効果も表れはじめております。ビジネスパーソンが見るニュース番組の定番であるテレビ東京の「WBS」では4月17日の放送でAIZE Researchを紹介していただきました。「感情分析AIエンジン」について取り上げていただき、当社の技術優位性が際立つ内容となっており反響を得ました。
ほかにもダイヤモンド社から4月24日に発売された「ダイヤモンドセレクト不動産DX最前線」においても4ページにわたって先端技術者によるAI実装の未来について記事掲載されております。
上記の2つのメディア取材においては当社AIZE開発部部長の片渕博哉が対応しており、この分野でのオピニオンの立場を確立しつつあります。こうしたプロモーションの効果は顧客リードの獲得のみならずナーチャリングにも効果があり、競合他社との差別化の要因になっております。

  • WBSの取材風景(トリプルアイズ本社にて)

  • 本記事はダイヤモンド・セレクト2023年6月号
    「不動産DX最前線」(ダイヤモンド社刊)に掲載されたものです。

開発ロードマップ
「レジリエンス・プラン」の作成

今期に入り技術本部を中心に当社の技術資産の棚卸し・整理を行い、より戦略的に研究開発を進めるべく計画いたしました。これに倣って現状のAIZEに対するお客様からの要望、市場環境を分析したうえで優先的開発機能、優先的解決課題を明確にしてロードマップ化し開発部エンジニア全員で共有しております。
AI化やDXに対するニーズが留まることがない一方、エンジニア人材不足が続く市況において、社内リソースの最適化、要員計画の最適化がなされ、さらなる生産性の向上と、新規追加機能のマネタイズの早期化に注力する戦略をとっております。営業部がキャッチアップしたお客様からの要望を最速で開発部に連携し、より売上貢献できる開発環境を整備しております。これを「レジリエンス・プラン」と呼称しております。

新たなサービス形態

今期のここまでの業績の低迷を受けて、新事業、新サービスの企画立案を進めております。そのなかで、AIシステム関連での需要を分析して、ラボ契約(ラボ型開発)でのサービス提供を開始いたしました。これまでの当社のAI開発で培った技術力と知見を活かした、最新情報サーベイ、AI論文サーベイ、案件実績が集約されたエンジニアチームのラボ契約による開発請負です。ラボ契約とは一定期間、AIエンジニアを確保して開発プロジェクトを進める契約のことです。これまで当社がAI開発に関する相談を受けるなかで、AI化は進めたいが、その要件定義やアウトプットの明確化に苦慮し、スタートが踏み切れない企業に最適な形は何かを模索してきた結果となります。すでに数社から問い合わせを受けており、今後はラボ契約によるAIシステム開発の請負が増加することが見込まれます。
ラボ契約は、請け負うシステム開発が大型化、長期化してLTVを高めるものとして期待しております。また、ラボ契約は年間など一定期間の売上が確保されるものとして経営基盤の安定化にも寄与するものと考えております。画像認識AIにとらわれないAIシステムの開発についても、問い合わせが増加しています。

株主へのメッセージ

2022年末、アメリカのOpenAI社が発表したChatGPTは瞬く間に全世界にユーザーを拡大しました。それは「ChatGPTの衝撃」とも呼べる状況でした。ChatGPTは自然言語処理のAIテクノロジーですが、当社が得意とする画像認識AIとも非常に親和性の高い技術です。なぜなら、ChatGPTの次のイノベーションとして注目されている生成AI(Generative AI)は、画像認識と自然言語処理のテクノロジーを融合したものだからです。
画像認識AIの精度だけをとっても自然言語処理の機能が高まることでより抽象的な画像認識も可能になると考えています。当社の経営理念「テクノロジーに想像力を載せる」は、創業者・福原智がある取引先に言った「言葉にできることはすべてシステムにできる」というメッセージがもとになっています。このメッセージこそ、ChatGPTのインパクトが画像認識プラットフォーム・AIZEの可能性を広げることを象徴していると思います。
「ChatGPTの衝撃」はしかし、輝かしい未来ばかりを照らすものとは言い切れません。東大の副学長がChatGPTを指して「人類はルビコン川を渡ってしまった(後戻りできないところにきた)」と発言したこと、OpenAI社にも関係のあったイーロン・マスク氏もAI開発を6カ月停止するように提言したり、ここにきて危機感も高まっております。ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)といわれるテクノロジーにまつわる倫理的・法的・社会的な課題も取り沙汰されております。
当社ではオウンドメディアである「IT批評」においてかねてからテクノロジーと倫理の問題をとりあげてきました。当社が先端テクノロジーの社会実装を社是としてきたからです。また、当社は、2014年から囲碁AIに取り組み、世界の舞台で闘ってきた数少ないAIベンチャーであり、社会、人間とテクノロジーの共存共栄こそ当社が目指すべき未来であることを感じてきました。当社は、システム開発のSI事業を母体としながら、AIをはじめとする自社サービスを立ち上げてきた珍しい会社でもあります。囲碁AIをはじめとする先端技術へチャレンジし、人々の生活様式を変え得るAI顔認証の社会実装を進めてまいりました。「IT批評」などにおいてテクノロジーについて社会学的な研究を進めていることも含め、ほかの多くあるAIベンチャー、IT企業とは違うオンリーワンであり続けたいと考えています。また、当社の将棋部は今年はじめて日本一の座を大手企業さんとの闘いを制してつかむことができました。このようにして違いを創ること、尖り続けることが、優秀な若いエンジニアたちが当社の仲間になってくれている背景であり、中長期的には当社にとって大きな優位点になると信じております。
変革の時代にあるからこそ、広い視点をもつエンジニア集団の強みが活かされます!

  • CONTENTS.02
  • トリプルアイズ
    AIエンジニア座談会
  • 社会実装の実績で得たナレッジで
    未来をエンジニアリングする

  • 松崎憲介

    技術本部AIZE開発部副部長

    写真左

    2021年の入社以前より、トリプルアイズと囲碁AIの共同開発を行っていた。研究チームを率いて、AIにおけるグローバルな先端研究分野の論文をサーベイし、AIエンジンの機能向上を担っている。近年では、マスク装着時の認証精度の向上、AI顔認証が苦手とする若年層の認証精度の向上をリーディングする。画像認識、顔認証にとどまらずAI研究の多くの領域に精通するエキスパートである。

  • 徳内哲也

    技術本部執行役員

    写真中央

    旧郵政省貯金局の資産運用システムの開発に10年以上にわたって従事するなど、IT業界においてシステムエンジニア一筋で活躍。個人事業主を経て、株式会社トリプルアイズ入社。2021年9月、執行役員就任。画像認識プラットフォーム・AIZEの開発部門を統括する技術職のリーダー。

  • 片渕博哉

    技術本部AIZE開発部部長

    写真右

    画像認識プラットフォーム・AIZEのメインエンジニア。2016年、トリプルアイズ入社。同年、AIの研究開発から学習アーキテクトの構築をメインに、多種多様の企業案件やAIを使用した音楽配信レコメンドサービスの開発に従事。AIエンジニア教育サービス「AT20」「ブートキャンプ」の責任者として、カリキュラムや教材の作成に従事するかたわら、囲碁AIソフト開発マネージャや他社への講演活動も積極的に行っている。

2023年4月6日 トリプルアイズ本社会議室にて

他の企業には真似できない
囲碁AI開発で得た知見

  • トリプルアイズの囲碁AI開発は、創業者の福原(智)さんが東北学院大学の武田敦志先生(教養学部情報科学科教授)にディープラーニングを学ぶために何回かやりとりしたことが始まりです。武田先生ご自身も囲碁AIエンジンの開発をしていて、トリプルアイズでも囲碁のゲームプログラミングを始めてみようと、福原さんが若手社員2名とスタートしたのが2014年だったと思います。囲碁AI大会に参加するうちに、松崎さんや他のエンジニアの方と交流が深まって囲碁AIの研究も進んできたという感じです。

  • 私も以前から囲碁AIは遊びでやっていたのですが、大会に出るようになったのは、DeepMind社のAlphaGoが出た後ぐらいです。大会で福原さんとお会いして話をしているうちに、トリプルアイズと組んで分散版というか複数サーバー利用版の囲碁AIプログラムである「Raynz」ができました。そのころ、企業で囲碁AIの大会に積極的だったのは、海外で言えばテンセント、Facebookですね。日本の場合、個人で出場する方が多く、会社として参加しているのはかなり珍しいほうでした。直近の大会でもトリプルアイズぐらいしか日本企業の出場はないです。

  • 囲碁AI開発や大会出場で磨かれた技術は相当ありますよね。

  • ディープラーニングとかCNN(畳み込みニューラルネットワーク)とか機械学習の要素の使い勝手などを学ぶことはできました。この手法は使えるけどこれは使いづらい、こういう使い方をすればうまくいくというようなノウハウは、囲碁AIでの開発ノウハウを流用しています。丸ごと使えるというわけではないですが、機能ごとにAIZEの開発にも反映されていると思います。

  • 直接的な応用は難しいところがありますが、機械学習のノウハウは生きているんじゃないかなと感じています。当時AIって言葉だけはあるけど、実際に何をするのかということが手探りだったなかで、具体的に囲碁AIの大会に参加して上位入賞するという目標が立てられたことが一番良かったんだと思う。具体的な目標があったからこそ、AIについての知見がどんどん集まってきて、トリプルアイズは早くから知見をためていけたし、ほかの企業にはない特色になっていますね。

「トリプルアイズならなんとかしてくれる」
という期待

  • AIはただの数理モデルだから、それを社会に役立てるためには実装力が必要になります。技術力と社会実装力が両立できているところがトリプルアイズのアドバンテージなのかなと思います。AIの社会実装の最前線で頑張っている徳内さんとしてはどうですか?

  • 使う人がどういう感覚でいるのか常に考えないといけない。AIZEもAIチームとUIチームに分かれています。両チームを連携させるのは簡単なことではありませんが、顔認証を用いて1つのサービスを提供するという具体的なゴールができると、どのようにして使いやすいシステムにするかにみんなの目的が集約されていきますね。

  • 最近大手の企業さんから、「こういうのをつくってくれないか」という依頼を受けるケースが増えていますが、トリプルアイズが指名されるのはどういう理由からだと思います?

  • 実績でしょうね。特にヤマダデンキさんとやった顔決済はインパクトが大きかったと思う。

  • そうですよね。トリプルアイズなら何とかしてくれそうという期待を感じることはあります。

  • それと、日本語が通じるAI会社のなかでは、比較的にコストパフォーマンスがいいというのもよく言われます。

  • これから顔認証が当たり前の世の中になったら、ICカードの時代にはもう戻れないと思うんですよ。今は「別にカードでいいじゃない」って言うかもしれないけど、そもそもカードがない時代に生まれた人が、これからカード使ってくださいって言われたら面倒なはずですよね。スマホから携帯電話に戻れないのと同じように。

成熟に達したAIZE Bizと
進化の可能性が大きいAIZE Research

  • もともとAIZEがやろうとしていたのは顔認証によるマーケティングリサーチのサービス(AIZE Research)で、このサービスのもう少し精度の高いものをつくっていこうと目指しているところです。入退出サービスであるAIZE Bizは現在かなりのところまで来ていて成熟段階に達していると思います。マーケティング目的のサービスを充実させていけば、その先にまた新しい可能性が待っていると思うので頑張りたいですね。

  • AIZEにいろんなサービスメニューを掛け合わせていけたらいいですね。これまでにも、AIZE Breath(顔認証+アルコール検知)とかAIZE Door(顔認証によるドアロックシステム)とかAIZE Pay(顔認証による決済システム)がありましたが、「AIZE ×◯◯」を増やしていきたい。勤怠管理大手の「TeamSpirit」と連携したりして、大手のソリューションと一緒にやっていける環境が整ってきました。今後はいろんな領域とクロスしていくために、もっと使いやすいAPIとかサービスメニューを開発していくことがAIZEを広げるためには重要だと思います。そのためにもクラウド利用に限らないで、利用する環境の選択肢を増やしていく必要性を感じています。特に金融系のシステムや官公庁系のシステムはセキュリティと速度の問題があって、クラウドだけだと採用されにくいのでエッジの顔認証をもっと頑張りたいなと思っています。

  • 精度や速度の向上は課題として追求していきたいですが、新しい機能の追加も常に考えていくべきですね。マスク認証やなりすましの判定などが代表的な例です。若年層など既存の顔認証が苦手な分野の精度をいかに高めるかも含まれます。マーケットの拡大を考えるとそこは避けて通れないですね。

  • とにかく今は用途やニーズがどんどん広がってきている状態で、例えば顔のほかに体でも認証できませんかというような声もいただいています。来期に向けて、AIZEサービスを拡張していくためにはどんなことが必要か精査している段階です。

優秀なAIエンジニアが育つ土壌を耕す

  • 社内のAI系エンジニアの育成については、AT20(advanced technology 20=社内のエンジニアの20%を先端テクノロジストに育て上げる)というプロジェクトを4年ほど継続しています。これは、ビジネス的な観点も含めてのジェネラリストの育成とスペシャルなAIエンジニアの育成という2つが目標になっていて、画像認識やチャットボットのAIモデルを自分でつくって評価できるぐらいのところまでの教材が用意されています。スペシャルなAIエンジニアは年に2、3人ほどしか合格してないですが、合格した人に対してはデータサイエンスやAI開発にアサインしていく予定です。あとは、みんながみんなAIやデータサイエンスをやりたいわけではないので、AI以外のエンジニア育成のためにeラーニングで外部の教育サービスを使って、本人が望むキャリアに進めるための教育プランを会社でサポートしています。

  • 今後は社内でプログラムコンテストもやりたいですね。AIZE APIを公開して何かつくるような。

  • チームでやったら面白いですね。エンジニアも必要なんですけどジェネラリストも必要だと思うんです。そこはチーム制にして、ジェネラリストがプランナーの役割を果たして、こういうサービスはどうですかと提案する。プログラムは書けないけどアイデアはあるという人が、プログラムを書ける人とチームを組んでやったら面白いかなと。顔認証に縛らないでChatGPTと合わせて何かするとか、他の画像処理系のプログラムと組み合わせてもいい。

  • それはぜひ実現しましょう。

実践力の高いエンジニアを
輩出する技術本部

  • エンジニアとして成長するには、興味を持つというのが一番大事かな。面白くできなかったら興味も持てないので、そこは気を使っている部分もあります。自分が新しい技術を習得するのも興味があるからやっているわけで若手の人たちもそこを目指してほしい。

  • 技術に関する新しい情報があったらチームで共有するようにしています。それを読んで議論したりしますね。あとは、開発してもらったプログラムを読んでレビューやアドバイスをしています。専門分野だからこそ、お互いに論文を読んで話し合って高めていくことは必要ですね。

  • なるべくキャリアプランに合うようなプロジェクトにアサインできるようにしています。そのうえで本人が足りてないスキルに関してはアドバイスしています。あとは引き出しを増やしてあげることを意識しています。サーバーもアプリケーションもAIもフルスタックにできるように引き出しを増やしてあげられるようなことを、意識してやっています。引き出しが多いほうが実践力も高まりますから。

社会実装を進めたことで得た大きな知見

  • 人間の顔って、眉毛も目も大体同じところについているじゃないですか。それを個別に判定していくのはそれなりに難しくて、そこをちゃんとサービスとしてこれまで提供して運用実績もあるので自信がついてきました。顔から派生して植物や料理などほかの画像認識にも応用できるんじゃないかと考えてやってみたらうまくいった。ビジネスチャンスはどんどん広がっていると感じています。

  • 丸紅、信州大学と行った顔認証システムを活用したバスの乗降データ取得の実証実験(2022年11月)

    • これからは勤怠システムだけじゃなくて、社会インフラや公共交通インフラにも顔認証は広がっていくと思います。だから顔認証だけでも可能性は大きいと思っています。AIを使ってこんなことできないかというリクエストが、このところ増えてきています。「できますか」と言われて、「こうやったらできますよ」とスムーズに答えることができているのは、自分たちにもそれだけナレッジが蓄積してきたんだなと感じています。

  • それは2、3年前とはだいぶ違いますよね。

  • そうですね。AIそのものの知見もあるんですけど、カメラとか画像の入力系デバイスの知識も相当たまってきていると思います。

  • それは実装に力を入れてきたからこそですよね。

  • 単純にシステムだけだとプログラムとネットワークとデータベースについて知っていればOKなんですが、実際に現地に設置してみると、デバイス側の知識がないとどうにもならないケースも多い。普段プログラムばっかりなので、デバイス系も触ると面白いんですよね。

独自AI技術で自社ブランドを研ぎ澄ます

  • お客様の要求に合わせてAIをカスタマイズしてきたナレッジが一番の財産かなと思います。そこがオープンソースを使って認証しているところとの決定的な違いです。高速化のリクエストがあっても、オープンソースを使っているだけだとできないんですけど、トリプルアイズは自前でモデルを開発しているからお応えできる。顔認証から派生していろんなニーズが出てくると思うのですが、そこに対応する力はあると思います。

  • 基礎研究と応用研究を両立してやっていきたいですね。AIモデル単体でタスクとして性能を高める方向にも行きたいし、でもそれだけできたからといってシステムに使えるわけでもないので、有機的につなげてサービス提供するみたいな方向に広げていきたいです。

  • AIZEはほぼ自分たちのプロパーでやってきましたので、そこは守っていきたいですね。開発のスピードを早めるために外部に渡してもいい部分はあるかもしれませんが、自社ブランドを研ぎ澄ましていくためにも、トリプルアイズ独自のAI技術にはこれからもこだわっていきたいと思います。

(了)

  • CONTENTS.03
  • 上半期ニュース閲覧ランキング
  • 顔認証AIと他社サービスとの連携が注目を集める

今回のニュース閲覧ランキングはいかがでしたか?
最も閲覧されていたのは、「トリプルアイズの顔認証AIがTeamSpiritと連携開始」でした。
人気の勤怠管理プラットフォームに顔認証打刻機能が搭載されるということで、注目を集めました。
2位には世間を騒がせた「食テロ」に対してAIで解決策を目指すという記事。
3位は公共交通機関での顔認証の実証実験の記事です。
顔認証AIの社会実装が本格化していることを実感しています。

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